ハヤカワ文庫<br> 薔薇の荘園

ハヤカワ文庫
薔薇の荘園

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150102678
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

113
忘れ去られてしまった作家による歴史ファンタジーの中編集。どの作品にも透き通るような美しさがあるし、登場人物たちが抱えている胸の哀しみが心に沁みる。表題作の「薔薇の荘園」は十字軍に参加しようとした少年たちが、旅の途中で経験した不思議な体験を描く小説。文明化されておらず、魔法が息づいている13世紀のイギリスの描写に魅せられた。思春期の少年の心情が瑞々しく描かれている。牧羊神の視点からローマの建国者、ロムルス、レムルス兄弟の人生を描く「火の鳥はどこへ」も良い作品。神の目に写った人間の哀しみが詩情豊かに描かれる。2016/08/25

ニミッツクラス

30
77年(昭和52年)の330円の青背初版。本来ならFTレーベルのド真ん中だが、同レーベルは79年創刊だから当時のSFレーベルで刊行。著者の本邦初書籍化で、3編を収録するオリジナル中編集。本書、SFからF系へと読者の裾野を広げたか積読になったか…気になる。巻頭「火の鳥はどこに」はローマ建国神話の双子兄弟にまつわる秘話。F系と言えど主要部分は神話から逸脱していないので手堅く楽しめる。兄ロムルスの名から“ローマ”になった。他の2編も良く、紀元前5世紀のペルシャや13世紀の少年十字軍の世相が匂い立つ。★★★★☆☆2023/06/09

糸車

12
幻想的で抒情的。読んだ当時、二十歳そこそこだったわたしはマンドラゴラ(マンドレイク族)というものの存在をこれで知った。ハリーポッターの映画で登場したときはおお、こういう見た目なのね!と興奮した。あ、叫び声も。中編が三作入っているんだけれど、わたしは表題にもなっている「薔薇の荘園」が一番印象に残っている。愛しているからこそ、その人が心から望んでいることをさせたい。たとえどんなに自分が辛くても。孤独な女性の行動に心打たれた。表紙が萩尾望都さんのイラストっていうのもいいセンス。2014/09/01

鐵太郎

9
まだハヤカワ文庫FTがなかった頃ですよね。もしあれば、当然ファンタジーとして分類されたはず。これは、神話と伝説を、歴史にはめ込んだようなお話が三点。それぞれ、なんとも不思議な物語です。歴史をしっかりと踏まえているけれど、あきらかにファンタジー。自分の趣味とは外れているし、決して愛読書とはならないジャンルの本なのに、忘れられない。読み返してみて、改めて奇妙な味わいのあるお話でした。萩尾望都さんの線の細い表紙絵も、良いイメージですね。2011/07/20

noémi

7
標題の作のみ読了。一種のファンタジー小説なのだと思う。確かに歴史に基づいた美しい話なのだが、どうもその世界観に入って行けず、読むのが苦痛だった。出来がわるいというのでななく、相性の問題かと…・2017/09/25

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