ハヤカワ文庫<br> スラン

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ハヤカワ文庫
スラン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150102340
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

126
古典SFの名作。スランと呼ばれるミュータントの少年が、さまざまな困難を乗り越えて自分の真の仲間にめぐり会うまでを描く。次から次へと主人公に危機が襲いかかるプロットが素晴らしく、読み始めたらページを捲るのをやめられない。ジョミーが初めて自分と同じスランに出会って、恋に落ちるシーンは甘美で美しいのだが―――。キリコの絵のようなシュールな未来都市の描写にはSFならではの詩情があった。結末はある程度予測がつくが、それでも嬉しい驚きだった。2016/05/05

藤月はな(灯れ松明の火)

74
ミュータントSFの嚆矢、『スラン』。恥ずかしながらSFファンの方の感想がなければ、知り得なかった本である。独身能力を有するが故に人類から唾棄され、殲滅されるスラン(特色は金色の触毛がついている事)の少年、ジョミーは両親の遺言を守る為に殲滅部隊の幹部であるキア・グレイの抹殺を目論む。一方でキア・グレイに飼い殺されるスランの少女、キャスリーンは自身の処遇に疑問を抱き始めていた。ジョミーとグラニーとの一筋縄ではいけない関係や歴史から浮き彫りにされる無触毛スランとの因縁なども盛り込まれており、緊迫感が持続される2023/05/21

ニミッツクラス

37
77年(昭和52年)の320円の青背初版。雑誌初出が40年の処女長編…かな? もはや鉄板古典の作品だが、私が社会人になった頃でも著者は現役で書いていた。但し邦訳となるとほぼ出ておらず、著名な割には未訳作品も多い。「スラン」は異能(間違いなくディックに影響を与えているよ)と異能からくる三すくみ(判り合えない確執)、異能にまつわる構成(読み易いが意外な真相)とがSF界の異能確執金字塔となる。加藤氏のカバーにもあるように異能人種スランには頭に金色の触毛(アンテナ)がある。SF道を歩む者、必読の一冊。★★★★☆☆2022/12/07

波璃子

28
これは本当に1940年の作品なのか?と疑いたくなる。スランというミュータントと人間の憎みあい、テレパシー、原子力利用などの将来を見越した科学の描写…面白さは約70年経った今でも色褪せない。SF小説の歴史において重要な位置にある作品だと言えると思う。2016/11/20

kochi

14
高い知能と身体能力を有し、テレバスでもある超人類スランの少年ジョミー・クロスの逃亡と囚われたスランの少女キャスリーンの生き残りをかけた戦いを中心に、人類対スランの争いと未来を描く。単純に多数の人類から逃げる物語かと想像していたが、隠れスランと純スランの反目も含む三つ巴の混乱を収拾するための遠大な計画を成長したジョミーが立案・遂行するところは、いかにもヴォークトらしい展開。原子力の利用の実現が一つのテーマになっていて、出版が1940年だから、発想としては一般向け小説に書かれるぐらい知られていたのだとわかる。2024/03/29

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