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内容説明
警官を志望する若きキャシーがマージョリーと出会ったとき、彼女の胸にはステーキナイフが深々と突き刺さっていた。何者かが彼女を刺し、レイプしたのだ。怯え、傷ついた彼女を慰めるキャシー。だが捜査を担当したロビロ刑事は、事件を彼女の自作自演と断じる。マージョリーに友情めいた気持ちを抱いていたキャシーだったが、どうすることも出来なかった。それから六年後、キャシーとマージョリー、そしてロビロの運命が再び交わるまでは…MWA賞最優秀短篇賞受賞の「傷痕」をはじめ、男性社会の警察機構で生きる女性たちを描く十篇を収録。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞受賞。
著者等紹介
ドラモンド,ローリー・リン[ドラモンド,ローリーリン][Drummond,Laurie Lynn]
テキサス州ブライアン生まれ。1979年からバトンルージュ市警に五年間勤め、退職後に発表した作品がエルモア・レナード、ジョゼフ・ウォンボーらに絶讃され、MWA賞を射止めた。テキサス州在住
駒月雅子[コマツキマサコ]
1962年生。慶應義塾大学文学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
28
たまたま図書館を散歩していて、題名が気になって借りてきた。読み始めてすぐに既読感。ああ、あの本だったと気付く。出版当初に評判を聞いて読んだ本だった。でも、内容は全く覚えていなかった。この本、警察小説として、かなりの優れものではないかと思う。連作もの。登場人物は女性警察官。被害者の痛みを我がことのように思い詰める人が最後の登場人物。その痛みがあって生じた出来事と、その結果を引き受けることの苦痛と癒しの物語。このような物語も、ミステリー小説の山の中に埋もれてしまう。このことがとても残念。2020/08/29
背古巣
20
感想が難しい作品でした。アメリカの女性警察官についての短編集です。読んでいて面白いのは面白いのですが、最終的に何を言わんとしているのかがつかめません。発表と同時にすごい評価(いい意味で)をうけた作品ということですが、私にはそういうのはあまり合わないのかも・・・。残念です。もっといろいろな本を読んでからであれば、この本の良さを理解できるのかもと思います。2016/02/27
Teppei Tsujiyama
14
法廷サスペンス。容疑者と検事の心理戦とねつぞうされる証拠、意外な証言、凶弾に倒れるヒロイン。その辺まで妄想してから読み始めたのでスゴく面白かったです。中身は全然ちがいます。ミランダ警告(日本では逮捕状を読み上げにあたるものでしょうか?)の一文に「あなたに不利な証拠として」という台詞があるそうです。法の精神として警察権の暴走を防ぎ市民権の確保は大事ですが、現場ではそれどころではない事もあります。また、それが裏返って警察官が人間性を攻撃される時のアイロニーが群像劇になっている小説です。と言うことで妄想おすすめ2014/07/23
のりのり🍳ぽんこつ2𝒏𝒅
12
アメリカの女性警察官たちが主人公となる短編、どれもアメリカ映画で観る云わば"あるある"な景色なんだけど、改めて文字で起こされ読むとアメリカは銃社会なんだなぁと痛感させられた。犯人と対峙して銃を向けながらのやり取りなどの描写は細かく、自分も彼女たちの横で構えている気分。死体の臭いの描写がたまらない、衣服にこびりついた臭いはどうにも取れないようだ、また、死臭対策には鼻の周りにヴィックスヴェポラッブが効くらしいですよ(笑) ただ、安易なオチを期待してはいけないんだな。警察小説ネタでの文学作品というところかな。2020/11/07
ふゆ
11
ルイジアナ州市警の女性警察官5人についての短編集はオスカー並みの著者謝辞から始まります。その微笑ましい気分とは違い、中身はとてもシビア。謎解きでも探偵小説でもないのにページを繰る手がとまらない。これからどうなるんだろう…と思いました。社会的に弱者である女性の静かな怒り、タフな精神と再生と皮肉なタイトル、気に入りました。2021/01/27