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内容説明
「危険が迫っている、一刻も無駄には出来ない」深夜、開業医ピートリーを訪ねたのは、ビルマから密かに帰国したネイランド・スミス。旧友たちは再会を喜ぶ間もなく、夜のロンドンへ飛び出す。だがクライトン卿を救うのには間に合わなかった。密室の書斎で卿は悶死した。死の寸前の言葉「赤い手!」の真意は?そして謎めいた“ザイヤット・キス”の正体は?続発する怪事件、神秘的美女の暗躍、危機また危機。東洋から襲来した天才犯罪者との対決が始まる!銀幕を飾り、悪魔の代名詞ともなった、伝説の怪人フー・マンチュー、ここに登場。
著者等紹介
ローマー,サックス[ローマー,サックス][Rohmer,Sax]
1883年英国バーミンガム生まれ。ジャーナリストを経て作家に。1913年の本書がベストセラーとなり、以後フー・マンチュー・シリーズを中心に40冊以上の作品を発表した。1959年没
嵯峨静江[サガシズエ]
青山学院大学文学部英米文学科卒。英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
全欧州を黄色人種の支配下にすべく暗躍する怪人フー・マンチュー博士、対するは白人世界を守るべく奮闘するネイランド・スミス、二人の間に虚々実々の戦いが繰り広げられる。第一次世界大戦前に書かれたらしく当時流行していた黄禍論や人種論、サイード言うところのオリエンタリズムが満ち満ちているが、ストーリーは結構素朴な冒険小説といった感じ。事件が立て続けに起きて読者を飽きさせないが、惜しらむはフー・マンチューの凄さがあまり伝わってこない。映画史上に名を残す悪役だから、もっとこう悪のカリスマみたいなのを想像してたんだけど。2015/04/09
NAO
55
義和団事件にインスパイアされて書かれたミステリ。北京の各国の公使館を封鎖した義和団は、欧米人にショックを与え、なんとも不気味な存在として映った。作者は、この義和団のリーダーとして、残虐で冷徹な知性の持ち主(Drである)フー・マンチューを作り上げた。人を自分の奴隷にしてしまう強烈な支配力。拷問もいとわない残虐性。殺害に毒を持つサソリや蛇を駆使する不気味さ。フー・マンチューは、東洋の闇の中から突然飛び出してきた、おどろおどろしい、不気味だが気になってしかたない存在となった。⇒2022/10/06
神太郎
24
1900年代初頭の時代ではまだまだアジア圏というのは本当に未開の土地であり、奇々怪々な人物、技術が集合している例として最たるものだったのだろう。描かれ方が実に奇怪な、フー・マンチュー博士。西洋の科学では作れない毒を使ったり、正攻法ではないからめ手で主人公たちとやり取りを繰り広げる。終わり方があまりにあっさりなのはびっくりするが、続編にひっぱるのなら、仕方ないか〜。今だとステレオタイプとか言われて映像化はされづらいかもね。こういう作品も映画リメイクしてほしいけど。2023/07/07
ホームズ
18
東洋の天才フー・マンチューとネイランド・スミスの戦い。冒険小説のような展開で楽しめた(笑)結構早い段階でフー・マンチューが登場してきてピートリーやスミスと戦ってたのが意外(笑)「全白人種の代表」ってスミスの立場が凄く大げさで面白い(笑)映画も見てみたいな~(笑)2013/04/02
Saint Gabriel
9
「全白人種の代表」スミスとピートリーは代表にしては余りにも不甲斐無く間抜けなのではないのだろうか。「黄禍」と偉そうに言わないで貰いたいものだ。あれではフー博士に笑われても仕方が無い。ホームズとワトソン、或いはポワロとヘイスティングズには足元にも及ばない。残念だ。2017/03/31