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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
30
結婚式から蜜月旅行へやってきたピーター卿とハリエット。しかしトラブルが引き続き、ついには死体まで発見してしまう。スラップスティックなやりとりや、ピーター卿とハリエットの互いを尊重し合いながらも情熱的な語り合いといった、話の応酬が楽しい。ハウダニットが分かってからの犯人の「あの行動が実は」の見せ方が上手い。ピーター卿とハリエットとバンターの成熟した関係性と共にラストでピーター卿の苦しみを描く、『推理によって中断される恋愛小説』という副題ピッタリの作品。2015/10/30
Ribes triste
14
ピーター卿とハリエットの結婚生活模様に感動する。ハリエットはどんな時も公平で優しく、細やかな気配りを忘れない。ピーターは自分の弱い部分も包み隠さず、どこまでも対等に誠意を持って公平にハリエットに対峙しようとする。人を裁く事の重圧がピーターの精神を傷つけていたことはなかなかショッキングな告白でした。でもこの二人ならどんな困難も乗り越えていけそう。素敵な最終巻でした。2017/07/11
ポン・ザ・フラグメント
6
古いポケミスを読んじゃうんだよ活動本。ドストエフスキーがゴーリキの外套の中から飛び出してきたと言うなら、セイヤーズはジェーン・オースティンのスカートの下から這い出てきたのだろう。「推理によって中断される恋愛小説」という副題に示されるとおり事件は小説の添え物程度である。ウィムジー卿のファンにはとても楽しく読めそうだが、単純にミステリを読むつもりだと死体の出てくるまでがつらい。ウッドハウスのジーヴスといい、一回雰囲気に乗り損なうと読み通すのに結構苦労する。2016/02/21
madhatter
2
再読。初読の際、バンターがお払い箱にならなかったことに狂喜した記憶あり。そして、恋愛より結婚を描写した本作の方が、ピーターとハリエットの理性が勝った関係をうまく生かせている気がした。一方、推理小説としては、“How”に重点を置いた作品と言えよう。ある種の○○トリックだが、このテのものにありがちな複雑さより、シンプルな迫力を重視してあり、わかりやすい。全体的に旧作品群よりもコメディを散りばめた物語の中に、巧みに手掛かりも仕込まれており、傑作とは言えずとも、なかなかの佳作と言える。2012/05/14
えー。
2
すでに二度ほど読了済みなので例によって斜め読みだが、やはり推理だけではなく、恋愛小説としても面白かった。比類無きバンター氏は尊敬すべき執事(従僕)ですね! 最後の長編とのことで、バンター氏が卿に仕えることになった詳しい経緯――ピーター卿の悲しい悲しい振る舞いなど、見所は満載です。2008/12/07