NHKブックス
源氏物語と東アジア世界

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  • サイズ B6判/ページ数 294p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910986
  • NDC分類 913.36
  • Cコード C1395

内容説明

「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ」と『紫式部日記』に記されて千年。以来、日本固有の美意識の源流として称揚されてきた『源氏物語』だが、果たして、本当に和の文学の極致と言えるのか。七歳で異国人である高麗人と出会い、その予言を起点に権力への道を歩みはじめた光源氏の物語を、東アジア世界からの“モノ・ヒト・情報”を手がかりに捉え直す。『源氏物語』を古代東アジア世界に屹立するヒーローの物語として読み直す、気鋭の野心的試み。

目次

いま、なぜ『源氏物語』と東アジア世界なのか
「いづれの御時にか」の時代設定
鴻臚館の光る君
異人・高麗人の予言
「光る君」伝承の起源へ
紫式部の対外意識
黄金と唐物
転位する唐物
表象としての唐物
唐物による六条院世界の再生
光源氏世界の終焉
光源氏没後の世界と唐物
「国風文化」の再検討

著者等紹介

河添房江[カワゾエフサエ]
1953年生まれ。東京大学文学部卒。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京学芸大学教授、一橋大学大学院連携教授。博士(文学)。専門は源氏物語を中心とした平安文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はちめ

7
カラーの図版が表紙だけなのが本当に残念。源氏物語絵巻のカラー図版を眺めながら本当に楽しいだろうなと思う。本書はあたかも光源氏が歴史上の人物かのような記述をするので、作者である紫式部が表に出ないが、紫式部における唐物や高麗物に対する評価はどうだったんだろうか。紫の上が和物派だということは極端な舶来品至上主義には苦々しく感じていたということだというか。専門家の仕事に感謝する一冊です。☆☆☆☆★2020/04/22

はちめ

6
源氏物語について日本文化の原点的な解釈のみがされていることへの疑問から本書はスタートしていて、源氏物語に含まれる東アジアの文化や文物の影響について記述されている。ただその結果、源氏物語における東アジア的なものと和風なものの対立的な扱いが明らかになり、紫式部は紫の上には和風な装いをあてがうなど唐風文化より和風文化が上位にあるように考えていたのではないかと思わせるものになっている。だとすると源氏物語が国風文化の原点的に扱われることも紫式部の意に適っているということになる。この辺りを詳述してほしかった。☆☆☆☆2022/02/21

葉つき みかん

4
『源氏物語』における威信材としての唐物の位置づけを、物語における描写から読み取ったもの。唐物と関係付けられる女君として末摘花、明石君、女三宮、夕霧の六の君、和物と関係付けられる女君として、紫の上、宇治の中の君という指摘は興味深かった。しかし、紫の上達も正式な場では唐物を使用する、ということは、唐物=フォーマルと考えてもいいのでは、と思った。2019/01/31

Tonex

2
『源氏物語』といえば純和風なイメージがあるが、実は紫式部の国際感覚が随所に現れ、物語に広がりを与えているということを指摘した本。貴族生活を彩る東アジア諸国からの交易品、源氏の将来を予言する謎の異国人、珍獣唐猫。確かに言われてみれば、中国や朝鮮との貿易や文化交流に関する事柄がいろいろ書き込まれている。2014/11/29

amr

2
著者の別の本を読んで面白かったので読んでみた!衣配りで配られた衣装がそれぞれの女君のイメージにあってるなあなんて思っていたら、色によってこんな意味も見出せるのか〜〜光源氏というネーミングについてなんかもとても興味深く読むことができた(⌒▽⌒)2014/01/23

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