出版社内容情報
『ゾウの時間 ネズミの時間』にも匹敵する、おどろきの生物学! なぜ自然界には、かくも円柱形が溢れているのか? 私たちが五感
内容説明
私たちの指や血管は、円柱の形をしている。いやいや、ナマコやミミズ、ゾウの鼻やネコの胴体だって―。なぜ自然界にはかくも円柱形が溢れているのだろうか?生きものが総じてやわらかいのはどうしてだろうか?物理的時間とは異なる、生きものの「円い」時間とは?私たちが五感で捉えることのできる実感を手掛かりに、生きものの本質へと大胆に迫る、本川生物学の真骨頂!
目次
第1章 生きものは円柱形
第2章 生きものは水みずしい
第3章 生きものはやわらかい
第4章 生きものの建築法
第5章 動物は動く
第6章 サイズと動き
第7章 時間のデザイン
著者等紹介
本川達雄[モトカワタツオ]
1948年、宮城県生まれ。東京工業大学名誉教授。専門は動物生理学。東京大学理学部生物学科(動物学)卒業。同大助手、琉球大学助教授、東京工業大学大学院生命理工学研究科教授などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
108
2018/1/29 Amazonより届く。 2019/4/1〜4/4 形にこだわった本川先生の本。非常に面白いなぁ。高校生くらいでこれを読んだら、生物学をやりたくなっただろう。最後の時間の話は「象の時間、ネズミの時間」と同じだ、と思ったら、20年前の本の再販なんだ。ちっとも古臭くなくて、それにもビックリ。2019/04/04
Kentaro
34
円柱形の動物が泳ぐためには、水を押す広い表面が必要になる。円柱形の体の側面全体がその表面を提供する。体を波のようにくねらせ、その波を前から後方へと送れば水を後ろに押すことができる。体は反作用で前に進む。泳ぐ方向は決めておいた方が良い。そうすればより速く泳げるように筋肉や神経を配置でき、前端(頭)と後端(しっぽ)の区別が生まれてくる。食べものを求めて泳いでいくわけだから、泳ぎ着いてすぐに食いつくためには口が前端にあるべきで、排泄口は後端に開く。そうでないと自分の排泄物をかき分けかき分け泳がねばならない。2022/07/29
えも
20
何やら懐かしい内容だと思ったら、1998年の再編集だそうな。円柱形、水っぽい、柔らかいといった生物の特徴や、体の仕組み、運動の仕組み、そしてお得意の生物時間と続く。基本的内容なのでほとんど知ってることだけど、比喩の活用など説明が上手だね。2018/06/30
イシカミハサミ
9
生き物の身体の作りについて改めて見直していく。 序文が非常によかったのでがっつり要約してレビューに代える。 ひとことで「この形だ」と言い切れる形のない生き物をあえて「円柱形だ」と言い切りました。厳密な定義にうるさい物理や化学の「科学的な考え」に基づいた定義を生物にも当て嵌めていては、本質はみえてきません。本書は、生物に接して、まず気付く形、感じる時間、自身がとんだりはねたりするメカニズムについて、「実感の生物」の入門書です。2023/02/08
Miyako Hongo
8
そもそも生物は何でこんな形をしているのかを深掘りし、物理的にそれが効率がいいからだ、という所に落とす。丸いのは内圧を一定にしやすくて丈夫な形だから。円柱は中が空洞でも詰まってる時とそんなに外力への耐性は変わらないから。水の入った内腔が骨と同じ扱いで運動の支柱になるとか。各論レベルの話をここまで判りやすく説明できる本はそうはないと思う。□だから四角い鉄筋コンクリートの環境は、生物にとって優しい環境じゃないよね、という話が説得力を持つ。□最終章の時間の話、続いていく事が生命の目的だとしたら、伝える事が意義か。2019/08/30