内容説明
「数学的推論」とは何か。それは経験則でも山勘でもなく、数理論理学やゲーム理論をベースに「相手のハラを探る技術」。人間のみならずコンピューター同士の推論合戦が本格化しつつある現在、それは巨額の利益と結びつく一方で、大きなリスクをも引き起こす。人間の行動から経済情勢まで、今世紀をエキサイティングに変える数学的推論。フォン・ノイマンやゲーデルなどの成果を踏まえ、その可能性と限界に迫る。
目次
第1章 数学でマネーを稼ぐ人たち―ギャンブルからアルゴトレーディングまで
第2章 数学的推論とは何か―トレーディングを支える原理
第3章 コンピューターにできること・できないこと
第4章 「正しい」とはどういうことか―「可能世界」から考える
第5章 「知っていること」を知っている―ゲーム理論の推論
第6章 なぜリスクを根絶できないのか―「不完全性定理」から考える
第7章 金融バトルを解きあかす―「新しい推論」は何をもたらすか
著者等紹介
小島寛之[コジマヒロユキ]
1958年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒。同大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。専攻は数理経済学。現在、帝京大学経済学部経済学科教授。数学エッセイストとしても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アルカリオン
14
p50「日本の現在の大統領」のように「存在しない」対象をどう考えるかは哲学的に難しい問題だったがラッセルが述語論理を使うことにより解決し、「分析哲学」と呼ばれる新しい哲学を樹立した。詳しくは青山拓央『分析哲学講義』を参照のこと。 2021/07/15
孤独な読書人
6
後で感想書きます2020/10/02
しんこい
6
ロト必勝法やカジノ必勝法といったつかみは魅力たっぷりで、数学的推論の有効性に期待しますが、実行力が伴わないので。欧米人との議論や説得に古典論理学の理解が必要とはよく言われる事ですが、その先の様相論理だの新たな論理の理解がコンピュータの活用には必要という事か。2014/02/02
ばぶでん
3
著者の「使える経済学の考え方」が面白かったのと、この本が判り易いという書評を見て挑戦してみたが、文系おじさんにはやはり難しい。チューリングの定理やゲーデルの不完全性定理は消化不良。ただ、前に読んだ野矢茂樹「論理学」よりは(理解には程遠いものの)手応えあり。命題論理、述語論理、様相論理の区別くらいは判ったし、健全性定理・完全性定理も理解できた。人間と機械との違いとしてハイデッガーの「世界内存在」や「被投性」の概念も面白く、著者の多才ぶりが感じられた。ひょっとすると野矢「論理学」を再読すれば理解が進むかも。2015/06/08
オランジーナ@
2
著者の本は、いつも途中でよくわからなくなる。これだけ新書で難しいと、たいして売れないのではないかと思う。2017/07/14