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チェチェン やめられない戦争

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  • サイズ B6判/ページ数 405p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784140808917
  • NDC分類 302.298
  • Cコード C0098

内容説明

チェチェン関連の報道は、実に限られている。ジャーナリストを対象とした度重なる誘拐、殺人に加え、煩瑣な手続きが外国報道陣を寄せつけないからだ。世界中から忘れ去られ、無法地帯と化したチェチェン。ロシア人女性ジャーナリストが命を賭けて拾い集めたのは、武装勢力の主張でもなく、ロシア軍のイデオロギーでもなく、誰にも止められない戦いに翻弄される市民たちの声だった。

目次

第1章 戦時下のチェチェン―一般市民の生活(チェチェンの歴史;耳が聞こえないっていいなあ ほか)
第2章 ロシアの現実―この戦争の背後にあるもの(ルスラン・アウシェフとの会見;民族の特徴で襲撃される ほか)
第3章 この戦争は誰にとって必要なのか?(将軍たち、すなわち新興財閥;奇跡の石油パラダイス ほか)
エピローグ 二〇〇二年五月、ザカーエフとの対話

著者等紹介

ポリトコフスカヤ,アンナ[ポリトコフスカヤ,アンナ][Политковская,Анна]
ロシア人ジャーナリスト。1980年、国立モスクワ大学ジャーナリズム学科卒業。モスクワの新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙評論員。1999年夏以来、チェチェンに通い、戦地の住民の声を伝える記事を書く。その活動に対してロシア連邦ジャーナリスト同盟から「ロシア黄金のペン賞(2000)」「黄金の銅鑼賞(2000)」、アムネスティ・インターナショナル英国支部から「世界人権報道賞(2001)」、フランス語版『チェチェン―ロシアの恥辱』(ロシアでは未刊行。未邦訳)に対しては、国際ルポルタージュ文学賞「ユリシーズ賞(2003)」を受けている。2002年、モスクワの劇場占拠事件では、武装グループから仲介役を指名され、交渉にあたった

三浦みどり[ミウラミドリ]
ロシア語通訳。1973年、東京外国語大学ロシア科卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

71
第二次チェチェン戦争のルポ。語られるのは、チェチェンでの拷問、略奪等の人権蹂躙の実態や戦争ビジネスで「完全にできあがっている」ロシア軍と武装勢力の協力関係、国連やEUの椅子を巡るロシア票の重みから西側諸国の仲介は期待できないという現実。描き出される戦争の出口のなさと、それに打ちひしがれる人々の姿に胸塞がれるよう。同時にこれは様々な利害関係の中で戦争が「生きものと化し」た時の普遍的な姿であり、作者が見た戦禍の現実は現在も戦火の中にある多くの場所で続いているのだろうとも思われて一層暗澹たる気持ちになりました。2022/08/16

中年サラリーマン

22
チェチェンをめぐって双方が正義をかかげ戦争が続いているが、一方でワリを食うのはいつも弱い人々。軍人がいかに傍若無人に破壊、略奪、拷問をくりかえししかも見逃されているかを弱い人々に寄り添って告発したルポタージュ。こう言うと某団体から非難がありそうだがやはり女性ならではの細やかな視点からのルポはすばらしいと思う。著者はすでに暗殺され故人となっております。合掌。2014/03/15

スー

15
最初はチェチェン人の戦争被害を取材した内容でした。戦争で痛めつけられた人達を更に夜になると身分を隠したら兵士達が夜盗となり、盗み誘拐、身代金の要求、中には遺体を返して欲しければ金を払えと要求。国に帰っても子供の帰還を待つ親に金の要求。新興財閥と勲章を貰った将軍が同一人物。チェチェンの復興費用の水増し請求で儲ける。もはやロシアそのものが腐敗して救いようがない。チェチェンも油田をめぐり犯罪組織の抗争であちこちの油田が破壊され有害物質を撒き散らす。ロシアの軍人と犯罪組織は戦争継続で一致している。読むのが辛かった2017/04/02

Marcel Proust

9
今から20年前、ロシアによる戦争犯罪と虐殺行為は自国の領土内で起きていた。戦争犯罪者プーチンの本質を見抜いていた著者のポリトコフスカヤに感嘆する。「911事件」の後、「国際テロリズムとの闘い」の流れの中で、「チェチェン=テロリスト」というプーチンのプロパガンダがまかり通り、ロシアによる残虐非道な虐殺行為や惨状が国際社会から黙殺されていた。著者は独立派にもロシア軍にも与せず、戦争によって計り知れない被害を被る市民の声を取り上げる。ロシアによるウクライナ侵略の中、ロシアの本質を知る為にはこの本は必読だと思う。2023/10/10

タキタカンセイ

8
ここにはp氏の「特別軍事作戦」とは何か、が全て書いてある。市民の殺害、略奪、凌辱、は偶発的なものではなく意図的であり、混乱状態を作り出すのが目的。チェチェンではそれが完璧に成功。ただウクライナではそれを全世界が目撃する中でやってしまった。 ある時は弾丸飛び交う戦場の真ん中で、ある時は自分自身が逮捕監禁拷問されながらも書き続ける著者。文学として素晴らしい本だと思いました。再刊を強く望みます。ついに凶弾に倒れてしまった彼女の無念を想いつつ。2022/04/10

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