内容説明
物語は時空を越え、常識を凌駕する。平成と昭和、二つの時代で起こった不可解な事件。真相に近づこうとする者たちを嘲笑うかのように謎は深まり、ほの暗い闇がひたひたと迫りくる。運命に導かれるようにしてたどり着いた先は、光明か絶望か。圧倒的なスケールで、既存のジャンルを超えた新たな世界に挑む鬼才・阿部智里の渾身作!
著者等紹介
阿部智里[アベチサト]
1991年生まれ、群馬県出身。早稲田大学文化構想学部卒業。2012年、『烏に単は似合わない』(文藝春秋)で松本清張賞を史上最年少20歳で受賞。14年、早稲田大学大学院文学研究科に進学、17年、修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
423
以前から気になっていた阿部 智里、初読です。本書は戦争トラウマ遺伝ホラーでした。著者はもっとベテラン作家だと思っていましたが、20歳台でした。リーダビリティが高く今後も期待できます。 https://www.nhk-book.co.jp/pr/book/000000057002019/index.html 機会をみつけて、著者の代表作「八咫烏シリーズ」を読んでみたいと思います。 https://books.bunshun.jp/sp/karasu2019/02/13
ソルティ
308
ホラー?!怖い!映像が想像できるのでさらに怖い。トラウマが何世代にも受け継がれるってことがあるのか、と恐ろしい。戦争時代は常識や良識が通用しない。その時には良かれと思ってやったがあとで罪悪感に囚われ自分は幸せに生きられない、と思ってしまうその思考も分かる。それって切ない。真実が分かっても共存するしかないって辛い。でも少し見方が変えられたのがせめての救い。「「夫が、人殺しだという話は聞きたくないのだそうです」」「「父さんが、きちんと母さんの味方になってやりさえすれば、きっとあんなことにはならなかった」」2019/02/14
ウッディ
293
昭和40年、復員し、妻と娘を得て幸せに暮らしていた兄の突然の自殺の理由を探る省吾。平成30年、何かに怯え、妻と娘と離れ、引きこもる兄に戸惑うさつき。それは幼い頃に自殺した母と同じ行動だった。そして、さつきも血を流す少女と彼岸花の幻想を見るようになる。愛する人が突如おかしくなっつていくという得体の知れない怖さがありました。全ての根源は、戦争中の悲惨な体験とトラウマの遺伝であった。二つの時代を行き来しながら、謎が解明されて行くストーリーは、読みやすかったが、やはりこの理由ではスッキリしない。まずまずでした。2019/07/13
うっちー
199
阿部氏初読み。先を先をと行きたくなる小説ですが、やっぱりそう言う事かという感じです2019/05/03
ナイスネイチャ
141
図書館本。今までの著者の作品とは違う?ホラー系。戦争の悲惨さより呪いの怖さが際立つ。2019/03/31