内容説明
社会になんとなく疎外感を抱くことはないか。自分の居場所などないと思えたり、自由に生きることを阻む檻のように感じたり…しかし、社会はあらかじめ存在するのではなく、人と人の日々のコミュニケーション=相互作用の集積から生まれるもの、そう考えれば、おのずと社会との関係の結び方が見えてくる。そして、「私から社会へ」を考えることは“ほんとうの自分”を振り返ることにつながる。個と社会の問題にこだわり、よりよく生きる道を模索したジンメル思想を現在を読み解くツールとして捉え直す、気鋭の社会学者によるスリリングな試み。
目次
序章 私の社会学体験―ジンメルとの出会い
第1章 「ジンメル」とはだれか?―相互作用論的社会観の特徴
第2章 社会をどこから見るか
第3章 社会学は何を問題としてきたのか?
第4章 社会の成り立ちと「ほんとうの私」との関係
第5章 「秘密」とは、コミュニケーションを拒否した態度か?―他者との「距離」をどうとるのか
第6章 「闘争」がダイナミックな人間関係を作る
第7章 貨幣の“現象学”―“私から社会へ”つながるメディアとして
第8章 ハイ・モダニティとしての現代―人間関係の相互性を時代とともに考える
終章 “私から社会へ”のルート探し―“根性なしの社会学”からの出発
著者等紹介
菅野仁[カンノヒトシ]
1960年宮城県仙台市生まれ。1989年東北大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程単位取得。東北大学文学部助手、青森公立大学経営経済学部助教授などを経て、1995年より宮城教育大学教育学部助教授。専攻は社会学(社会学思想史・コミュニケーション論)
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