内容説明
心肺同時移植を受けた患者は、すっかりドナーの性格に入れ替わってしまうという。これは、心が内臓に宿ることを示唆している。「腹がたつ」「心臓が縮む」等の感情表現も同様である。高等生命体は腸にはじまり、腸管がエサや生殖の場を求めて体を動かすところに心の源がある。その腸と腸から分化した心臓や生殖器官、顔に心が宿り表われる、と著者は考える。人工臓器の開発で世界的に著名な名医が、脊椎動物の進化を独自に解明し、心や精神の起源を探る注目作。
目次
第1章 心肺同時移植で心が変わる
第2章 心はどこから生まれるか―系統発生学と臨床医学から探る
第3章 心と精神の発生学―呼吸器、腸、神経、筋肉
第4章 新しい免疫学の樹立―エネルギー代謝と疾病と人体の構造欠陥
第5章 顔と心、身体と精神
おわりに わが中央突破の考えによる研究生活
著者等紹介
西原克成[ニシハラカツナリ]
1940年神奈川県生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京大学大学院医学部博士課程修了(医学博士)。東京大学医学部口腔外科教室講師を経て、現在、日本免疫病治療研究会会長、西原研究所所長。人工歯根、人工骨髄の開発における第一人者。第32回日本人工臓器学会オリジナル賞第1位受賞
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感想・レビュー
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たまきら
23
三木成夫といった生命起源についての様々な本を去年読み、もっと読み進めたいと思って出会った本の一つです。「私が!」「世界初!」などという言葉は少しうっとうしいですが、摂取と排出、という生物の基本構造がどのように進化していったか…という部分は面白かったです。2019/01/19
バトルランナ-
16
また武田鉄矢に騙された!棚を作っちゃうぞ!『武田鉄矢に騙された』。まあ、帝王切開あんまり良くないよ!とか、ラグビーアメフトやり過ぎんなよって感じかなあ~!5点満点で3点。2014/07/15
手押し戦車
13
脳細胞は単なるトランジスターで腸からの指示で動く。腸からの指令で体の筋肉が動いたり本能的に行動を司る。スポーツでも頭で理論的に動きを考える前に体が勝手に反応する。蛇の脱皮の時、周りが騒がしかったりしたら出来ない様にリラックスした状態が本来の心の状態で力が発揮される。緊張し過ぎてお腹を下すのも心を支配してるのが腸かも。腸が煮えくり返る、腹を割って話すなど内蔵の言葉が有るがすべて気持ちや心を表している。まさに人間の心というものは実は脳にあるのではなく舌から肛門へとつながる内臓系にこそ存在してる。心臓の思い出2014/07/16
小林 祐太
3
これは必読書。心とか免疫とか人体の構造欠陥とかを、生物学の新機軸とエネルギー保存則で解明しちゃってます。ダーウィンの進化論の上を行っています。専門用語満載で読みづらいけど、頑張って読んだら目からウロコが落ちます。2015/07/02
カムナビ
3
三木成夫の流れを汲み、系統発生学と形態学から生命を紐解く。心は腸管内臓系、精神・思考は体壁筋肉運動系に宿る。生命体とは『エネルギーの渦がめぐるとともに起こるリモデリングで、生殖がリモデリングの究極のすがた』鰓腸に由来する器官、舌から心肺、が心を表し、食道をすぎた真っ暗闇の腹の腸は自我を表し、はい(魚へんに排)腸は精子・卵子を含む排出の欲求を表す。発生学は大事だと理解できた。2013/04/15