内容説明
私たちの「日本語」はどのようにして生みだされたのか?また、どのように変化しようとしているのか?明治初期、さまざまな文体に四分五裂していた日本語は、翻訳語の導入や言文一致などの努力を経て、中心的な文体を獲得する。借物の思考を強いる漢文訓読体や和語的情念から解放された日本語は、明晰で分析的な言語へと進化する。ここ百年の日本語の歩みを清新な視点でとらえ直し、敬語・男女言葉・翻訳語など多様な特質を論じながら、西洋語とは異なるその独自の論理性を探る、「日本語論」決定版。
目次
序章 「思考の身体」としての日本語
第1章 分裂していた日本語―紋切り型の「文」と卑近な「言」
第2章 翻訳が日本語を変えた―「周密文体」を求めて
第3章 「思考する日本語」の誕生―統合される身体
第4章 翻訳語の落とし穴―言霊が不幸をもたらす
第5章 「蠱惑的」から「分析的」へ―精密化する日本語
第6章 日本語固有の論理性を探る―西洋語は「演繹的」、日本語は「帰納的」
著者等紹介
加賀野井秀一[カガノイシュウイチ]
1950年、高知市生まれ。中央大学文学部仏文科卒業。同大学大学院修士課程修了後、パリ大学大学院で学ぶ。専攻は、フランス文学、現代思想、言語学。現在、中央大学理工学部教授
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