出版社内容情報
ちょっと前までどこにでもあった人間風景の描写からはじまり、「型」に関する章を読むころには、型を持たない自分に気がつく書である。人間の活動における「渾身」の重要性を再確認させる書である。
内容説明
「ムカツク、キレる」が横行する現代日本。生きる構えを見失った日本人の姿から、日本の20世紀を、身体をなおざりにした100年と総括する。身体文化の中心軸としての腰・ハラ文化に着目し、行動プログラムとしての「型」と身体の精妙な動作規範としての「技」の再生を提唱する。失われつつある身体感覚をいかに取り戻し、21世紀の身体はどうあるべきかを論じる。教育学の俊英による注目の書。
目次
序章 カラダにいま何が起きているのか
第1章 腰肚文化と自然体―立つ・歩く・坐る
第2章 失われゆく「からだ言葉」と身体感覚
第3章 型と技を見直す―身体知の先人
第4章 息の文化を取り戻す
第5章 力と形の「自己形成」感覚
終章 21世紀の身体へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Homo Rudolfensis
31
☆4.4 日本の足腰、息を活用する身体文化の衰退と再生方法について論じる本。3秒で吸い、2秒腹に溜め、15秒かけて吐く、という呼吸法がその訓練として良いそうですのでお試しあれ。子供の遊びに見る日本の足腰身体文化について、著者はかなりの紙幅をさいて言及しているのですが、これってサッカーである程度補える説はあるのでしょうか…?2022/02/14
これでいいのだ@ヘタレ女王
30
特別な事は書いていないが その当たり前の姿勢、所作を身体が覚えられたら 自然と体幹も鍛えられメンタルも身体もしなやかな自然体になれるんだろうなぁ と感じた。やはり姿勢と呼吸だな。 若い整体師さんに 借りた本。2016/09/20
GELC
18
斎藤先生の初期の代表作のひとつ。体を張った力作で、ページ数の割に読後感が非常に大きかった。特に、「技化」に関心を持ちながら読み進めた。型は高レベル者のパフォーマンスを凝縮したもので、全て理解する前に反復を求められることに意義がある。目安としては2万回繰り返すことで、無意識に動き方が沈殿してきて、技といえるものになってくる。柔道の吉田が、打ち込みを重視していたのは、ラケット競技で素振りを重視する考え方と重なるところがあり励まされた。修練を繰り返し、自分の癖を技に昇華させる段階を目指したい。2023/05/10
しまっち。
15
日本語にいくつもある「からだ言葉」。「腑に落ちる」「腰が据わっている」「地に足がついている」等の言葉の感覚を、体で実感できるだろうか。そう問われると危うい。その感覚があったから言葉の方が後でできたと思うのだが、今、腰や腹への力の入れ方が分からないのだ。自分の中心となる腰、腹に「芯」を感じられないと、安心感が得られない。そして「および腰」「逃げ腰」「腑抜け」になってしまうのだ。すんごく納得してしまった。最近腰を痛めがちなので何か参考になるかと軽く読み始めたのだが、思わぬ収穫となった本であった。2013/04/20
パスティル
13
2000年に書かれたちょっと古い本。ただし、内容は今でも、なるほどと思うことが多く、中心感覚と距離感覚という身体感覚に触れ、古きよき昭和時代の腰肚文化と息の文化に焦点を絞っている。やや理屈っぽいところもあったが、名刺で割り箸割りはぜひともやってみたい。2014/07/30