内容説明
1955年に飛んだ全長23センチの日本初の「ペンシルロケット」から、度重なる失敗を乗り越えて、1970年に人工衛星「おおすみ」を打ち上げるまでの、言わば、ロケット創世の時代を、宇宙への情熱を燃やす若き科学者・技術者たちの証言を中心に描く。また、現在のH‐2ロケットに至るまでの日本の宇宙開発と、今後の展望についても言及していく。
目次
第1章 昨日の夢
第2章 今日の希望
第3章 草創の時代
第4章 国際地球観測年をめざして
第5章 観測ロケット時代の幕開け
第6章 道川から内之浦へ
第7章 二頭立ての馬車
第8章 初の国産衛星「おおすみ」の誕生
第9章 実用衛星時代に向けて
第10章 明日の現実
補記 最新宇宙開発事情
宇宙開発年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Meistersinger
3
敗戦後一から開発したわけだけど、思っていたより順調に開発できた印象がある(第三者が後から考えてのものだけど)。米国から特に妨害もなく、基盤的な研究も戦前からのものを引き継げた感じだし。基盤+独自の技術開発が幸運をもたらしたのではなかろうか。打上事故で住民から立ち退き要求が出るが実は少数派によるもので、多数の住民が「やはり残って欲しい」といった時には移転が決まってしまっていたのは皮肉(声が大きいだけの少数派を過大評価してはいけない)。2022/03/08
印度 洋一郎
3
発行は1993年、NHK出版の「スペースエイジ」というムックに連載されたコラムを編集したもの。日本のロケット開発史をペンシルロケットからH-Ⅰまで追っているが、開発者や組織、燃料素材や実験場についてなど、コンパクトに幅広く網羅している。打ち上げ失敗やロケットのサイズ(予算を使っているのに小さいものしか作れない)についての、報道機関や世論の無理解な批判も色々書かれており、今でもこういう「コスパ」問題は着いて回っているんだろうなぁ、と感じた。文体も読み易く、1990年代初めまでの日本ロケット史としておススメ。2019/12/07
石ころ
0
失敗なくして新技術の成功はない。宇宙開発は粘り強さが大切なのかしら。大学図書館にて。2015/12/04
チェ・ロ
0
失敗は成功の神様といった所でしょうか、失敗を重ねつつ確実に進展する、しかしそこには常に問題が付きまとっていた、それにもめげず一からのロケット開発には涙ものです2009/05/09