アメリカ太平洋研究叢書
アメリカン・ナルシス―メルヴィルからミルハウザーまで

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  • サイズ A5判/ページ数 233,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784130801041
  • NDC分類 930.29
  • Cコード C3098

出版社内容情報

翻訳家,エッセイストとしても知られる著者によるアメリカ小説論集.メルヴィルからオースター,エリクソン,ダイベック,ミルハウザーへ,あらゆる細部を愛惜するかのような著者のスタイルが「もうひとつのアメリカ文学」を描き出す.第27回サントリー学芸賞受賞.

目次

『白鯨』あるいは怒れるナルシス
ポオあるいは怖れるナルシス
都市のナルシス―「群衆の人」編
ハックの中の社会―『ハックルベリー・フィンの冒険』論
欲望のダブルバインド―『シスター・キャリー』論
ピアニストを撃て!―物語としてのアメリカ
アメリカ文学と帝国主義
ジャメイカ・キンケイドの『小さな場所』第一章を教えることについて
贋金と写真―『舞踏会へ向かう三人の農夫』論
ポール・オースターの街
所有と快楽―スティーヴ・エリクソン『Xのアーチ』について
ケーキを食べた男
スイート・ホーム・シカゴ―スチュアート・ダイベックの世界
驚異とアイロニー―スティーヴン・ミルハウザーの世界
ナルシスその後

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

14
著者の専門であるアメリカ文学についての論文集。「神の死」以降の「自己意識」の問題を『白鯨』における(ナルシスの)鏡としての水面に探る、「白鯨あるいは怒れるナルシス」。そこでは、自己こそが最大の他者であるというパラドックスが提示される。自己は自身を距離によって対象化し他者化することでしか認識されえない。そのため自己意識の中には「他者」という亀裂が潜んでいるのだが、自己の創造者として絶対的に自己自身であろうとしたエイハブは、それ故に自らの中に「他者性(=モービーディック)」を発見してしまい破滅してしまうのだ。2021/12/26

Ecriture

8
穏やかな物腰の人だと思ってたら教育に関するエッセイの中で意外と激情家な一面が…。この人のゼミにいたらもう発言できなくなってたろうなという程、恐怖というか戦慄みたいなものを感じた。論文はアメリカン・ルネッサンスの頃の文学に関してはとてもおもしろかった。それ以降になると作家ごとのテーマ分析に留まる傾向が強く、勢いが殺がれてしまった感がある。一般の方が読むにはやや硬質かもしれないが、柴田元幸は文学者なのだと再確認したい方はぜひ。2009/07/29

田舎暮らしの渡り鳥

3
白鯨 怒れるナルシスより「水は、鏡として水の外の世界を反映すると同時に、透明な媒体として水の中の世界を透映する」。自分という存在と自分という存在とが愛し、愛憎ひっくりかえり、二律背反し、ホモ的に自分を犯す、「孤独」。翻訳家柴田元幸という日本人、私たち日本人から見れば、アメリカ文学はアメリカアイデンティティーの賛歌というより、「自分を映す鏡」「アメリカ的日本人個人の苦悩を映す鏡」なのかもしれないと思う。2019/07/31

ミツ

3
アメリカ文学の主題を“私が私であること”を巡る存在論的問題として捕らえ、それに即して展開される論文、エッセイ集。 3部構成でそれぞれ19世紀アメリカ文学論、アメリカ論、現代アメリカ作家論が論じられる。 扱う作家はメルウ゛ィル、ポオからエリクソンやミルハウザーまで時代的には幅広いが全体的にやや偏った印象を受けた。 特に現代アメリカ作家は未読のものが多くいまいち論が飲み込めず…。 要再読か。2009/07/15

youtom

1
ナルシスとか、自意識とか、負のレッテルを貼られて一般人には敬遠されかねないテーマは、実はすごく基本的で、重要なことだという、しごく当たり前のことが非常に分かりやすく書かれている。メルヴィルの白ジャケとかは復刊して現代で読まれて欲しい作品。2010/09/26

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