出版社内容情報
今日,分子の電子構造の分子軌道法的計算は化学や物理学のみでなく,化学工学,薬学,生物学,天文学,物質科学等の各分野で広く使われている.本書はその理論を初等的レベルから始めて要領よく正確にまとめ,演習問題を付して解説した良書.教科書として好適.(上)1.数学の準備 2.多電子波動関数と演算子 3.Hartree‐Fock近似 付録 問題略解 上巻索引(下)4.配置間相互作用 5.電子対および結合電子対理論 6.多体摂動論 7.1粒子多体Green関数 問題略解 上下巻索引
目次
1 数学の準備(線形代数;直交関数、固有関数、演算子;変分法)
2 多電子波動関数と演算子(電子状態;軌道、Slater行列式、基底関数;演算子と行列要素;第2量子化;スピン対称性を満足する配置)
3 Hartree‐Fock近似(Hartree‐Fock方程式;Hartree‐Fock方程式の導出;Hartree‐Fock方程式の解の解釈;制限つき閉殻Hartree‐Fock法:Roothaan方程式;H2とHeH+のモデル計算;多原子系の基底関数系;閉殻Hartree‐Fock計算の例;非制限開殻Hartree‐Fock法:Pople‐Nesbetの方程式)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pintarou
1
式の導出や説明は丁寧。演習問題も教育的な配慮がなされている。H2, HeH+の計算プロセスまでを辿れば一応分かった気にはなれる。2023/03/29
oxygen
1
上巻を読み通すと量子化学の基礎となるHartreeFock法を理解できる 問題も難しすぎるものはなく、理解の助けになるものが多い2018/10/31
えーす
0
計算化学の入門書として取り組んだ。マッカーリーやアトキンスと比べて進んだ内容を扱っているということで少し身構えたが、読み始めてみると式の導出など非常に丁寧で、線形代数と量子化学の初歩くらいの知識があれば難なく読みこなせるといった感じ。演習問題の解説はついていないが、ひねった問題は無いので話の流れを理解していれば解ける問題が殆ど。2016/01/13
ザキさmm
0
量子化学のバイブルと言っても過言ではない本書。 量子化学全般に言える事だが数学力が非常に必要なので、化学者にはとっかかりにくい。私自身、非常に苦労している。 1章では数学的知識を載せている。ここでの内容を理解出来ないと2章以降も辛い。 2章では量子化学における本質的な部分に触れている。Born-Oppenheimer近似から始まりHF法で解くまでの準備をここでする。 3章はこの本で最も語りたい章である。実際にHF法での解き方を議論しているのだ。下巻以上に最重要となり、量子化学のブラックボックスに手が届く。2011/07/20