出版社内容情報
社会学理論の歴史を,1848年二月革命にはじまる〈社会的なもの〉の苦難の歴史とコインの表裏としてとらえ,二度の総力戦,冷戦,そしてグローバリゼーションなどリスクに満ちた20世紀を駆け抜けた学として,社会学のアイデンティティを生き生きと描き出す.
内容説明
社会学思想の歴史を生き生きと描き出す、社会学史の決定版。19世紀中葉、「社会問題」「社会主義」とともに、“社会的なもの”が発見され、「社会学」が誕生した。革命、二度の世界大戦、冷戦やグローバリゼーションの激動の近現代史のなか、階級や労働や福祉、教育や文化を通して、社会学者たちは「社会的なもの」の思想を紡ぎ、現実に挑戦する。一世紀半にわたる社会学思想の物語。
目次
1 社会問題と社会学 一八四〇‐一八九〇年
2 在野からアカデミーへ 一八九〇‐一九二〇年
3 社会学の試練 一九二〇‐一九四〇年
4 “大西洋憲章の社会学”―社会と社会学の再建 一九四〇‐一九七〇年
5 社会から文化へ 一九七〇‐二〇〇〇年
6 二一世紀の社会学にむけて 二〇〇〇年‐
著者等紹介
厚東洋輔[コウトウヨウスケ]
1945年生まれ。1970年東京大学文学部卒業。1974年東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。1975年大阪大学人間科学研究科・人間科学部専任講師助教授、教授を経て、2009年関西学院大学社会学研究科・社会学部教授。現在、大阪大学名誉教授。博士(人間科学・大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぷほは
6
待ち焦がれていた著者の作品であり、読み終わるのが勿体なかった。とにかく平明かつ豊穣な文体によって社会学の歴史がなぞられていく、それだけで定価7500円の価値は保障されているのだが、5章のクーリー、9章のベヴァリジ、マーシャル等の記述は他の教科書や概説書でもあまり目にする機会がなく、大西洋憲章をひとつの画期となす社会学史観のあたりはスリリングな読書体験でもあった。テクストの引用、著者による要約、同時期の歴史的経緯、事例によるイラストレーション、それぞれがバランスよく抑制され、見知った議論も新鮮に感じられた。2020/11/25