出版社内容情報
【2008年度 毎日出版文化賞(文学・芸術部門)受賞】
内容説明
開祖稲目以来、馬子、蝦夷、入鹿と朝廷に君臨する大臣蘇我。だが、山背大兄王殺害を機に、密かに反蘇我勢力が結集してゆく。蝦夷、入鹿、軽皇子、中大兄皇子、藤原鎌足などの葛藤を独創的視点でとらえた大化の改新。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカギ
18
1巻よりぐっと面白い。本邦の話だし。血縁・婚姻関係が複雑で、最初の系図を見ているだけで、時間が潰せる。蘇我氏の勃興から大化の改新まで。『天智と天武』というマンガで天智天皇は厄介な人だったのだけど、この本では当初のイメージに近い。20歳前の中大兄皇子の才気と、中臣鎌足との交流が眩しく、大化の改新後のパッとしない感じが悲しい。2016/11/19
はなん
8
(図書館)山岸涼子先生の名作を思い浮かべつつ(笑)、こんなにこういう作品を楽しむことができると思ってなかったってくらい楽しんだ。藤原鎌子(鎌足)登場あたりから一気に流れが早くなり、歴史の世界の人たちに肉付きがつき不思議な存在感を感じた。さて3巻を予約せねば!(あーお盆だなあ…)2011/08/11
すiいiも
4
蘇我入鹿が山背大兄王一族を滅ぼした後から始まり、時代を遡って蘇我稲目・馬子の話。稲目は、大豪族葛城氏の女との間の娘 堅塩媛と小姉君を欽明天皇の妃に。後の藤原氏がしたことを先駆けて行っている。時代は戻り舒明天皇、皇極天皇の御世。乙巳の変で入鹿死亡。蝦夷自殺で蘇我嫡流滅亡。皇極天皇が孝徳天皇に譲位。大化の改新。斉明天皇(重祚)、天智天皇即位まで。この時代は幼い帝を即位させる例は無く、壮年の皇子が普通。譲位・重祚は皇極/斉明天皇が初めて。また、父子相続ではなく兄弟の相続が主流。父子相続の蘇我氏嫡流は特殊だった。2011/07/04
のら
3
3度目の「双調 平家物語」。1巻の唐の安氏の変が終わり、時代は飛鳥時代へ。蘇我氏四代の物語にぐいぐい引き込まれました。蘇我に一族はなく家があるのみ。女と嫡子相続で強く大きくなっていくさまは当時の非常識。だが、成し遂げた馬子と蝦夷はカッコイイ。しかし! 入鹿ちゃんの油断でついには滅びぬ、です。それと、若き中大兄が熱くてかっこよかったのに、どうしてああなった? ずいぶん前に読んだから忘れてることも。暗い物語なのだけど、面白くて。すぐ三巻読みます。2015/04/29
lobking
3
今巻のテーマは「中国の外戚が恣に…というのとは違う本邦の構造は葛城氏と蘇我氏がルーツ!」。そして「国という抽象概念をいかにして現実化していくのか?」。そして「系図だけでは判らない一番重要な要素は「年齢差」」。2010/04/25