感想・レビュー
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Mealla0v0
5
『産業社会の病理』+『批判的歴史主義に向かって』他収録。村上は1975年刊行当時、産業社会は危機にあると情況を見ている。外なる限界(環境危機)にばかり目が向くが、実際には内なる限界(大衆の解散=社会的凝集力の霧散)が問題であると指摘する。経営革命、福祉国家化、高度消費社会の到来、大衆教育の高水準化などに伴い、価値観は多様化し、新たな個人主義が増えていく。社会的緊張が弛緩し、勤労の習慣が忘れ去られ、そこでは不満がずっと燻ったままである。産業社会はこうした慢性的な危機に瀕しており、この状況を自覚せよと言う。2023/07/18