出版社内容情報
なんという希有な響きだろう/音は聞こえるけれど、言葉は聞こえない――物語をはぎ取られ、むき出しにされた痛いほど純粋な言葉たち。森博嗣、初の詩集。
内容説明
物語が消え、そこに遺る痛いほど純粋な言葉たち。森博嗣、唯一の詩集。
目次
いつでもハイウェイがある
コーヒーメーカの分解能
私的詩的素敵
ここにいよう
時計の音
雪が降る夜は
原石を拾ったのに
大人しい僕
離れていく
拒絶〔ほか〕
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年12月7日愛知県に生まれる。国立N大学工学部建築学科で研究をする傍ら、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。その後、精力的に作品を発表し続け、人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
126
もともと森氏はその独特の云い回しが多くのファンを生み、今までにない価値観を与えてくれるような警句にも満ちていて、時にハッとさせられる印象深い文章に出くわす。そんな森氏の言葉への思いが、迸りが溢れている。詩は読む人のその時の感情や状況でいかようにも読める。私が再びこの詩集を手に取った時に共感できる詩はその時の心情で変わっているだろう。好き嫌いが分かれるだろうが訳が分からないからといって嫌いになるのではなく、寧ろその訳の分からなさを愉しむべきだ。詩は考えるのではなく感じるのだ。読んで、そして味わってほしい。2020/09/29
Y2K☮
32
再読。今月のポエム。詩集と謳っているが、よくあるそれのつもりで読むと戸惑いが終始付き纏う(その曖昧さをロジカルに解き明かそうとすべきではない点を差し引いても)。と同時にしばしば生々しいフックをもたらす情景が浮かぶのも確かで、この辺の手触りは感性的な相性に左右されるのかもしれない。森博嗣の小説を豆腐に喩えるなら、これはおからだろうか。子どもの頃はあまり好きじゃなかったけど、今は普通に食べられる。むしろ美味しい。そういう本もある。そういう読書体験を大事にしたい、と関係ない事を思う。なるほど魔的だ。手離せない。2019/12/02
Y2K☮
29
先月&今月のポエム。これだけを単独で読むと何が何だか五里霧中(あらゆる詩集にそういう要素がある事を差し引いても)。ならばと少し視点をずらし、青い空をいつまでも飛び続けたいと願っていた永遠を生きる子どもたちの物語を思い出してみる。彼らだけではなくあの作品に登場する人々の生活風景を。そしてその内面に思いを馳せてみる。すると何となく分かった気になる。出発点に立てる。それでいい。そもそも分かるべき本でもない。或いは詩集ですらないのかもしれない。「スカイ・クロラ」シリーズとは著者が抱くある種の実存主義の発露なのか。2019/01/06
akira
29
詩集。 通過するだけで捉えきれない言葉たち。非常に悔しい。もう少し、想像力を鍛える必要がある。 お気に入りは「拒絶」と「しくしく思考」。拒絶はとても強い言葉で、そのままでは耐え難いけど、その裏にあるものにざわっとなる。境界はとても残酷で…。 「くみくみと思考し ていていと微笑した」しくしく遊びは、好きだなぁ。 がちっと掴まれる感覚。そのひとつに期待しよう。 「人間に要求される すべてのうち ただひとつを除いて 君は拒絶する」 2013/08/11
coco夏ko10角
24
森博嗣による詩集。『人間になった夢』が良かった。『詩的私的素敵』は思わず『詩的私的ジャック』の冒頭を開いてしまった。『四季の箱』は最後4行が四季シリーズと一致してるから、真賀田四季のことなんだろう…と思い何度もじっくり読む。2014/12/19