出版社内容情報
北京へ、そしてまだ見ぬ大地へ―遼東の地から大空に翔けあがる鷹の如く、ドルゴンは関を超え、大帝国清を築いた。満州の長ヌルハチの子として八旗を束ね中華統一をなした男の生涯
内容説明
太祖ホンタイジに仕え、その没後は摂政として幼い世祖を補佐し、清の基礎を築いた「聡明王」ドルゴン。満州の長ヌルハチの子として八旗を束ね、李自成軍を山海関で討ち取り、中華統一を果たした男の胸のうちには、母を殺され、力強く空を翔る鷹に憧れた幼い日の想いがあった。ぬきんでた知性で、時代を支える柱となった知将の生涯を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kk
17
清朝入関時の摂政王・叡親王ドルゴン一代の活躍を題材とした歴史小説。カバーのイラストがなんだか昔の少女漫画の絵みたいだったので、若い人向けなのかなと思ってしばらく積んであったのですが、読んでみたら予想外にしっかりした物語。主人公の生き様をあまりにも麗しく表現し過ぎてるよーな気もしなくもありませんが、そこはそれ、一つの歴史小説として楽しく読ませてもらいました。2021/09/08
P-man
4
呉三桂主役の『紅顔』を読んだので、次は同時代人のこちら。満州族、というか騎馬民族社会では母方の実家が強くなるうえに、末子相続の文化やなんやかんやで最後は会議で選出されたりもするから、国家誕生後の大事な時期に幼帝が成立ということがありえる……その時代にしっかり国家としての屋台骨を作り上げ後の繁栄を支えたんだから、この人やっぱり傑物だよなあ。権力欲や野心が薄いあるいは内心強く持っていた、というわかりやすい解釈はせず、難しい人物像を最後までしっかり書ききっていて素晴らしい。2022/06/25
紫鈴
3
生涯1度も野心を見せず実直だった。振り返れば、ホンタイジ政権時代のドルゴンが1番輝いていた。自分の命が掛かった綱渡り状態だったけど、ホンタイジの本心はどうだったのだろう。曹振彦とドルゴンの主従関係も最期までよかっただけに、フーリン未成年とはいえ、ドルゴンの死去した途端の仕打ちが許せないな。☆52007/08/17
雪野きずな
3
紅顔を読み返そう。井上祐美子先生はこれからも中国ものを書いて欲しい。2016/06/16
オイコラ
3
おもしろいんだけど、ドルゴンの権力への欲の薄さが、これはこれとしてありだし、いいと思うけど、でもちょっと違うんじゃないかな、とも思ってしまう。ホンタイジの病と死、荘太后の降嫁、ホーゲの処罰、どれをとってもいかにもだし。美化とも違うし、ひとつの解釈なんだろうけど、ちょっと物足りなく感じてしまうのも事実。2016/02/14