出版社内容情報
人間は考える生きものです。「考える能力」とはことばの力のこと。ことばを磨くことで難問を乗り越えていくのが人生。―新聞投書から首相答弁まで、成長を続ける日本語を考察。
内容説明
お役所言葉はなぜ難しい?必ず笑える駄洒落のコツとは?ふだんの言葉の中にこそ、日本語のひみつは隠れているのです。「言葉の貯金がなにより楽しみ」という筆者のとっておき。持ち出し厳禁、言葉の見本帳。
目次
1 漢字の増殖能力
2 文章上達のコツ
3 異言語習得トレ
4 言葉の経済性
5 コントのツボ
6 お役所の素直なせりふ
著者等紹介
井上ひさし[イノウエヒサシ]
1934(昭和9)年、山形県に生まれる。上智大学仏語科卒。「ひょっこりひょうたん島」など、放送作家として活躍後、戯曲・小説の執筆に専念。72年、「道元の冒険」で第17回岸田戯曲賞、「手鎖心中」で第67回直木賞、80年、「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で第31回読売文学賞、「吉里吉里人」で81年、第2回日本SF大賞、82年、第33回読売文学賞、91年、戯曲「シャンハイムーン」で第27回谷崎潤一郎賞受賞。99年、第47回菊池寛賞、2001年、第71回朝日賞を受賞。03年、戯曲「太鼓たたいて笛ふいて」で第44回毎日芸術賞、第6回鶴屋南北戯曲賞を受賞する
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kanae Nakajima
14
『言葉』に対する独特の不思議な視点が面白く、にやにやしながら読み終わりました。15年以上前に書かれた内容ですが、相変わらず日本の政治家の発言は他人を貶めるだけの下品な問題発言だらけだし、お役所言葉は難解。中でも特に面白さとともに納得したのは、口は怠け者で常に経済性を重んじるから何でも短くしてしまう、ということ。今は「了解」が「りょ」、だもんなーと。そしてハイジャック事件の長島機長を取り上げた回はプロフェッショナルとはこういうことかと感動しました。2016/04/15
KAZOO
13
井上さんが様々な人々の言葉に対する意見などに触れてそれに関してのご自分の考えを時評風につづったものです。ひとつが3ページほどであまり長くないので読みやすく感じました。井上さんが結構プロ野球のファンであることをはじめて知りました。2014/06/03
しんこい
10
役所や政治家のことばがダメなのは今もって変わらないね。作者の考察もそのあたりに集約されて、とはいえ文法変化のきざしとかは気になるな。2020/04/12
hakootoko
8
思わず声を出して笑ってしまった。様々な人が発する日本語に注目して、日本人について、いろいろなことが書かれている。筆者、どくとくな切り口が素晴らしい。使われる言葉に注目するという、アンテナの立て方をゲットした。ポケモン流行の土台は、カードゲームじゃないよ。でも、ポケモンカード、めっちゃ、詳しくて笑う。2015/04/04
こばやしこばやし
5
久しぶりに一冊読み終えた。積読本。今読むと平成というのどかな時代に井上ひさしも呑まれていたのかな?と思うこともあるし、時代を先取りしている慧眼も多くあった。反骨の人であるのは間違いなく、ユーモラスかつ上品に皮肉ったりするが、ド直球で「私はこう思う」と述べていて素敵。左翼的な所はありますが、地に足をつけて考えた知識人のエッセイでした。2021/12/18