中公文庫
猫に時間の流れる

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  • サイズ 文庫判/ページ数 220p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122041790
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

飼い猫のチイチイとパキ、野良猫のクロシロとぼくたちの関係は、微妙な緊張と調和を保っていた…。何かがわかっているような何もわかっていないような猫たちとの日々―。世界との独特な距離感に支えられた文体で、猫たちとの日常‐非日常という地平を切り開いた新しい猫小説の原点。

著者等紹介

保坂和志[ホサカカズシ]
1956年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。1990年、『プレーンソング』でデビュー。93年、『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年、『この人の閾(いき)』(新潮文庫)で芥川賞、97年、『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞と平林たい子賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

44
初猫本。漱石以来何千冊もありそうな猫本だが、開眼してしまったかも。保坂さんは、愛犬を亡くして、犬が中心の話を書きたいと小説を志したとか、本書の表紙は著者自ら撮影の愛猫チャーちゃんの写真が飾っているとか、名著「季節の記憶」の実質的主人公の学童前のクイちゃんは猫のチャーちゃんがモデル(!)だとか、あとがきで熱く猫への愛、いや家族感覚を語っている。この猫小説がすごいのは、単なる猫好きとか、べったりした猫への愛ではなく、ましてや擬人化でもなく、実体験に基づく、猫とのコミュニケーションというかそんなものが本当に↓2014/10/23

ぶんこ

30
作者は本当に猫が好きなんだとは、他の作品を読んでも感じましたが、こちらを読んでの感想は、作者ご自身が猫!ダァ〜。 仕事ぶりの緩やかな感じ。 良い意味での人との距離感が猫っぽい。 猫大好きなのに、何でだか私には合わないのです。 ハテ、何故だろう?2014/10/27

きょちょ

23
表題作は猫が中心なのだが、私は人間の多様性・一個人の多面性を、面白く読んだ。中心となる猫「クロシロ」も、もちろん可愛い。猫は人間より立派だし偉いと思う。「キャットナップ」は、人間の本質の一部をついて興味深いのだが、どうしても会話の方でやっぱり笑ってしまう。空中浮揚するヨガの行者やカール・ルイスや話のできる野菜など、大笑いである。作者をよく知る友人からは、「保坂は真面目に書いてるよ。お前みたいにケラケラ笑う読者をどう思うか、今度聴いてみるよ」と言われてしまいました。私は作者のファンであります。★★★★2015/11/06

mm

18
二編。両方とも猫が多く登場するが、保坂さんが後書きで言うように、始めのが猫の話で後のは人間の話。猫の話は切なく優しい。人間の話は、飄々としている。それは保坂さんの付き合い方なんだろう。猫であれ、犬であれ、人間であれ、距離をどのくらい置くかによって、感じたり見えたりするものは異なる。何にどのくらい時間と気持ちを使うのか、これは自分で判断しなかと…保坂さんのねこ時間はなかなかに密度が高い。2022/04/12

赤い肉球

14
初読み作家さん。猫が生活の中心となっているっていいなぁ。淡々とした文章の中に猫に対する愛情が感じられた。猫を良く観察していて、楽しめた。また猫を飼いたいなぁ…。大島弓子さんの解説漫画も楽しい!2014/05/16

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