中公文庫
科挙―中国の試験地獄 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 254p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122041707
  • NDC分類 322.22
  • Cコード C1122

内容説明

二万人を収容する南京の貢院に各地の秀才が官吏登用を夢みて集まってくる。老人も少なくない―。完備しきった制度の裏の悲しみと喜びを描きながら、凄惨な試験地獄を生み出す社会の本質をさぐる名著。

目次

試験勉強
県試―学校試の一
府試―学校試の二
院試―学校試の三
歳試―学校試の四
科試―科挙試の一
郷試―科挙試の二
挙人覆試―科挙試の三
会試―科挙試の四
会試覆試―科挙試の五
殿試―科挙試の六
朝考―科挙試の続き
武科挙―科挙の別科
制科―科挙よりも程度の高い試験制度
科挙に対する評価

著者等紹介

宮崎市定[ミヤザキイチサダ]
1901‐1995。長野県飯山市に生まれる。1925年、京都大学文学部東洋史学科卒業。60年から65年にかけ、パリ、ハーバード、ハンブルク、ボフムの各大学に客員教授として招かれる。専攻は中国の社会・経済・制度史。89年、文化功労者に顕彰される。もと京都大学名誉教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロッキーのパパ

17
著者は中国史の大家。さすがに名著と言われているだけあって、そ功罪を含め科挙に基本的なことがわかりやすく解説されている。科挙の制度面や歴史面だけではなく、人間ドラマの悲喜劇も取り上げられている点が読む楽しさを増してくれた。分量としては少ないけど、日本やヨーロッパの官僚制度との比較もあり、英訳されているのも納得できる。2012/10/29

月をみるもの

14
貴族制を打破し、皇帝直属の手足となる官僚を確保するための制度として生まれた科挙。この本には、過酷な受験競争や学閥間の争闘といった、科挙の様々な弊害が詳細に描かれている。一方で科挙は、国家運営に不可欠な人材を登用する上で不可欠な開放性/公平性/武官に対する文官の優位性といった性質を備えていたからこそ、千年以上にわたって中華文明の基軸制度であり続けた。日本の大学入試や公務員試験は、できてからまだ百年くらいしかたっていないが、明らかにもう耐用年数を超えている。次を考えるためには、まずこういう本を読まないと。2018/09/22

海燕

8
科挙なる試験制度が存在したことは知っていても、それをつまびらかに知る機会はなかった。著者は東洋史の大家だが、古い著作ということもあるのか、比較的くだけた筆致で読みやすい。これだけ長い歴史が残されている試験も世界的に珍しいだろう。年表によると、唐で最初の科挙が行われたのは622年、清での最後の試験は1904年。歴史は実に1300年近くにも及ぶ。面白かったのは、公平公正な試験をうたいながら、あの手この手で試験官を取り込むことが横行する。また受験者の悪行、善行が試験結果にはね返るような逸話がとても多いこと。2023/06/22

よしひろ

8
血縁による世襲を旨とする封建制にとって、学力によって非常に合理的に採用するシステムである科挙。しかし、人類史上最も過酷な試験の受験者数は万単位であり、人生のほとんどを費やす。老年に合格し、我が人生の華とするという、本末転倒な話もある。服に答えを縫い付けてカンニングしようとしたり、ヤマを張ったり、とにかく合格したくて必死になる。様々なエピソードが出てきて面白い。2015/08/20

C-biscuit

7
恥ずかしながら、週刊マンガ日本史で科挙のことを知った。厳しい試験制度であるが、この試験が一過性のものではなく、1300年も続いたことが驚きであった。その長く続いた科挙も終わりがあり、どうして終わったのかが気になっていたが、やはりヨーロッパとの格差拡大であった。もちろん科挙をクリアしている反対派もいたようだが、教育制度そのものが変わった。これまでの勉強が全く意味のないものになり、この本には、その変化についていけなかった人物の物語も差し込まれていた。いつの時代も、変化に対応していかなければならないと感じる。2015/06/19

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