内容説明
女の子にもマケズ、ゲバルトにもマケズ、男の子いかに生くべきか。東大入試を中止に追込んだ既成秩序の崩壊と大衆社会化の中で、さまよう若者を爽やかに描き、その文体とともに青春文学の新しい原点となった四部作第一巻。芥川賞受賞作。
著者等紹介
庄司薫[ショウジカオル]
本名・福田章二。昭和12年(1937)、東京に生まれる。日比谷高校をへて東京大学法学部卒業。昭和33年、「喪失」により第三回中央公論新人賞受賞。昭和44年、「赤頭巾ちゃん気をつけて」により第六十一回芥川賞受賞
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
237
第61回(1969年上半期)芥川賞受賞作。庄司薫は、その10年前に『喪失』で作家デビューを果たしており、その時には認めなかった三島も、今回の選評では「才気ある」作家と褒めている。しかし、それにしても芥川賞らしくない冗長で甘ったるいタイトルだ。中身もまたエリート臭を韜晦で包み隠しながら、その実、全身から溢れさせている。そもそもこれは「みんなを幸福にする」ために書かれた小説だと言うのだから。70年安保の年の小説だが、その時も今も、この小説は政治や社会からは限りなく遠い。これが、きわめて個的な小説だからだ。2015/03/25
KAZOO
55
昔はこのようなモノローグ風の小説が珍しくしかも若者が主人公で一世を風靡したものでした。最近の人も新潮文庫で出版されてから結構読まれているようですね。今読み直してみると若干ペダンティックな部分があったりしていやみに感じられるところもありますが、自分の若かったころもこのような感じだったんだろうな、という自虐的な感じを持ってしまいます。庄司さんの小説をすべて読み直して見ましょう。2014/10/14
SOHSA
41
《借用本》友人からの借用。芥川賞受賞作。遠い昔、学生時代に読んだような記憶も。初版は昭和44年。舞台は東大安田講堂事件のすぐ後の東京。あの時代、あの空気、あの敗北感の中で。だからこそこの作品は当時、眩いばかりの輝きを放ち多くの人の共感を呼んだのではないだろうか。今読むと、ほんの少し郷愁と悲哀と無力感とが行間からゆっくりと立ち昇ってくる。ラストはやはり叙情的で悲しい。本を閉じた後、読み手はどうすれば良いのかわからず、ただ途方に暮れる。2018/02/03
京
40
オススメ頂いて良かった!と思った本でした(´∀`*)文体が古めかしかったのでちょっと手こずりました(苦笑)が、第一印象は和製『ライ麦』(・∀・*)ホールデンを頭でっかち(笑)にして、現実ではなく思考回路をうろちょろさせたら、この作品になるのでは・・・と。理性の人の割には感情のふり幅が大きい薫も好きですが、個人的には小林のウザさと面倒くささと変な熱さが大好きです❤『flat』の海藤みたいww(他作品から失礼)オススメ頂いてなかったらきっと知らずにいたと思うので、本当に、読めて良かったなぁと思う一冊です!2012/06/19
b☆h
39
『金曜日の本屋さん』で出てきて興味を持った一冊。確かに薫くんと倉井は少し似ているかもしれない。色々と考え過ぎて煮詰まってしまうところとか。リアルと言えばリアルなんだけど、取り留めがなさ過ぎてよく分からなかった。引用されてる和歌や文学をちゃんと理解出来ていない私の無知さもあるとは思うけど、私には合わなかった。2022/06/14