感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
2兵
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"イギリス人でありながら、現地でアラブの反乱を導いた英雄"というイメージのあるロレンスについて、アラブ側からのロレンス像が述べられている本書。ロレンスの英雄像は、あくまで作られたイメージであり、実際はアラブの勝利にそこまで貢献したわけではなく、あくまでイギリス軍の一将校としての役割を果たしたに過ぎないとする。更にロレンスがほら吹きで、性倒錯者でサディストで…とする論述が結構衝撃的。ただ、全否定する訳ではなく、ロレンスについて誉めるべき部分、称えるべき部分についてもきちんとした取材の上で述べられている良書。2018/04/25
司書見習い
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アラブの反乱に協力した「英雄」、英国人将校トーマス・エドワード・ロレンス。しかし、彼の業績とされるものは彼自身の報告、著作を基にしているものが多く、信憑性に欠ける。本書は第三者(特にアラブ側)への取材等を通して、ロレンスの真の姿に迫るとともに、アラブの名誉回復を図ったものである。 事実を列挙している部分に問題はない。しかし、結論部分でロレンスを性的不能者で被虐趣味かつ加虐趣味であり、もしかしたら同性愛者であるかもしれない(故に彼は名誉欲に駆られた)とする部分の記述は根拠に乏しく、言いがかりの感を否めない。2015/12/08