内容説明
プルーストが『失われた時を求めて』で描き出した豊穣な作品世界は、観念的に読むだけでなく、より視角的に、具体的にとらえることによってさらなる魅力を増す。十九世紀末パリの街角、豪奢なアパルトマンの室内装飾、そして優美な衣裳を身につけ笑いさざめく女たちの姿がもの語るものは。
目次
1 Du c^ot´e de chez Swann(記憶の水中花;スワンの恋 ほか)
2 A l’ombre des jeunes Filles en fleurs(花咲く乙女たち;パリ生活のパノラマ ほか)
3 Le c^ot´e de Guermantes(ゲルマントのほう;オペラ座の桟敷で ほか)
4 Sodome et Gomorrhe(ソドムとゴモラ;海辺のサロン ほか)
著者等紹介
海野弘[ウンノヒロシ]
1939年(昭和14)、東京に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社に勤めながら、『アール・ヌーボーの世界』を書き、後に独立して、美術・都市論などの評論活動に入る
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
32
《購入本》「失われた時を求めて」の進行に沿って著者のプルースト論が展開されていく。驚くほどの細やかさ、繊細さをもってプルーストを語る著者の視点に自分自身の読みの粗さを改めて感じた。著者は物語の展開のみならずその背景景色を読み手の前に広げて見せることで、この物語の幅、高さ、奥行きを更に拡げている。なるほど、失われた時を求めてはこのように読むのだったかと腑に落ちる点が多々あった。ポリュームのある本ではあるが思いのほかすんなりと上巻を読み終えた。この勢いのまま下巻へ突入しよう。2019/12/24
かふ
17
図書館本。単行本を借りたのだが読みきれなくて途中から文庫本で読む。その前に同じ著者の『失われた時を求めて』解説本、『プルーストの浜辺―『失われた時を求めて』再読』を読んで面白かったので、海野弘が先に出した『プルーストの部屋―『失われた時を求めて』を読む』を読んだ。姉妹本と言っていいと思う。海野弘は、プルーストの過去や歴史を紐解いて作品に関連付ける手法。2022/08/31
燃えつきた棒
11
プルーストが「失われた時を求めて」を書いた頃の時代背景や彼自身の生い立ちなどが詳しく描き出されていて、とても興味深かった。読んでいて特に興味を持った「十七世紀フランスのサロン」も図書館から借りてきました。早速下巻を読むとしよう。2014/01/26
国重
3
『失われた〜』各篇のあらすじやテーマ、舞台となる場所などについて書かれているので作品の復習と予習用にちょうど良かった。本編からの引用は井上究一郎の訳から。上巻は第四篇「ソドムとゴモラ」まで2015/10/04
青米
0
「失われた時を求めて」を簡潔にまとめつつ解説してくれた本だった。詳しい感想は下巻にまとめて。2023/01/01