内容説明
関ケ原合戦で歴史に名を残す退却劇を演じた島津義弘の生涯を中心に、九州の雄島津家をめぐる波乱の物語を、国宝級の『島津家文書』を始めとする膨大な史料をもとに描き出す。会話ひとつひとつまでが史料的裏付けを持つ、小説を超えた歴史ノンフィクション。
目次
第1 戦国大名島津氏の終焉
第2 豊臣政権に服属して
第3 島津家最大の危機
第4 はてしない戦い
第5 島津領太閤検地
第6 朝鮮での苦闘
第7 庄内の乱
第8 関ヶ原の戦い
著者等紹介
山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年(昭和32年)、岡山県津山市に生まれる。東京大学文学部国史学科卒業。82年(昭和57年)、同大大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学史科編纂所教授。文学博士。92年(平成4年)、『江戸お留守居役の日記』により第四〇回日本エッセイイスト・クラブ賞受賞
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感想・レビュー
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hoiminsakura
7
筆者が数多く現在に伝えられている貴重な島津家文書を題材とし、島津貴久、義久、義弘、家久と代を連ねる島津家を支える人々と秀吉、光成、家康、福島正則らとの関係・出来事を通して家の歴史をつまびらかにする。義久が中央政権と距離を置こうとするのに対し上方や諸大名の規律を理解し豊臣に従わないイコール身の破滅を理解していた義弘。薩摩の家臣たちの身勝手や分裂にも苦悩したがあくまでも義久を立てる。朝鮮出兵の苦闘、庄内の乱そして関ヶ原は島津の退き口を経てついに家康自身による起請文を得ることで島津氏は新たな歩みを始める。2022/06/14
鐵太郎
6
猛将として名高い島津義弘の一代記です。島津四兄弟の立場の違いによる確執、葛藤や、四男家久の死についての説、太閤検地に関する新しい解釈、その他。新しい歴史解釈を交えた島津維新の姿は、面白い。2006/05/15
Melody_Nelson
5
以前読んだ小説で描かれていた島津兄弟の様子とは異なっていることに軽く驚きました。やはり書簡や家伝などで語られる方が真実に近いのでしょう。これを読んで、義弘のリアルな苦悩が伝わってきました…。2014/06/27
タカボー
4
島津=屈強みたいなイメージがあって、殿様は憂いのない豪傑かと思いきや、決して幸せな人生ではないように思う。豊富な史実に基づいて書かれてるので、できれば小説で読みたかったなあ。2015/08/01
(ま)
3
時代の流れを読めない国元の動きに苦悩する次男2019/11/05