出版社内容情報
自然観、人生観、恋愛観から有識故実にいたるまで知識人兼好が縦横無尽に綴る随筆文学の傑作。中世の人々の心のありさま、理想をかいま見る。
内容説明
教養ある者の話し方は…。何かを成し遂げようと思う者は…。すべてに優れていても色事を好まない男は…。自然観、人生観、恋愛観から有職故実にいたるまで、兼好法師がつれづれなるままに綴る随筆文学の傑作。中世の人々の心のありさま、理想をかいま見る。平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
152
色好まぬ男は底のぬけた盃のようだといいつつ、後醍醐天皇や真言立川流への憎悪が激しい。恋というものは、逢えないつらさや独り寝のわびしさに醍醐味がある…理屈ではなく身についたひねくれ方だ。坊さんだったせいか、僧の虚栄・空威張り(45段榎木の僧正・89段猫又・106段道争い)、宴会での馬鹿騒ぎ(53段鼎を被る僧)、貪欲・殺生(162段水鳥を獲る僧)には容赦がない。かと思えば60段の芋好きの僧や、69段の大豆と話す僧は褒めている。72段など子供嫌いは明らかだが、142段「子供があればこそ全ての情愛はわかる」とも。2020/11/08
てつのすけ
35
学生時代、「つれづれなるままに日くらし・・・」と、国語の授業で習ったが、内容はまったく理解できなかった。マンガで読んでみたが、まだ理解できていないようだ。古典は難しい。2020/03/11
さきん
23
徒然草を漫画化した作品。絵が丁寧で、徒然草を書いた著者の人柄がにじみ出ている。子供や後醍醐天皇がきらいなことが良く分かった。原文ではそこまで気にならなかったけれども世俗を嫌いながら、世俗のことをよく観察して書いているなと思った。太平記の漫画化した内容よ合わせて読むと鎌倉時代末の雰囲気をなんとなくつかめると思う。子供にこそ是非読んで欲しい一冊。2016/12/16
kenitirokikuti
9
前田雅之『古典と日本人~「古典的公共圏」の栄光と没落』の案内から図書館で『吉原徒然草』を借り、続いて角川ソフィア文庫の『新版 徒然草』(2015)とコミカライズを2種を買った。本書は1996年刊行の『マンガ日本の古典17 徒然草』(バロン吉元)。あとがきによると、友人である羽山信樹の剣豪・伝奇もの『邪しき者 柳生秘剣影』(1993)を読んで、真言密教立川流とその信奉者であった後醍醐天皇という見方を得て、『徒然草』はその批判ですべて貫かれているのではないか、という案を得たそうな。本書は歴史小説である2022/12/19
tama
9
図書館本 このシリーズは今でも結構貸し出されている模様 これは吉田兼好のいわば「つぶやき」なのね。バロン吉元懐かしいっ。男性の表情の多彩さが凄い。吉田兼好の後醍醐天皇嫌いって物凄いねー。兼好法師の多くのダメ出しは、私の心を直撃する。「下品なもの、坐っている周りに道具類が多い」(みっ、見たなー) 多くて見苦しくないのはゴミ捨て場のゴミと言ってるけど、誰も片付ける人いなかったの?「自分の専門外のことを自慢する。身の程を知らない」(すいませんっ)2021/07/07