内容説明
我が家は最近“泰西名画”の世界である。袋のタネをすくっては、振りまくように均等に落としていく。『種をまく人』である。その夜の食卓のまんなかには、うちでとれたジャガイモ…。ゴッホの『馬鈴薯を食う人々』そのままだ。寝室の隅で妻が繕い物をしているようすは…あ、そうだフェルメールの『レースを編む女』だ。私はよく笑いすぎて、疲れた頬を左右の手で押すのだが、ムンクの『叫び』に似ている…。
目次
はまやらわ
眼覚めの自由
サッカーの時代
同じ土俵
ひとり遊び
都会からの距離
隣りの人は
農家のゆとり
ワイン畑
予定通りに〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
58
久しぶりの玉村さんエッセイ。彼のエッセイはほとんど読んでいると思うので、これも再読か?とはしばしに考えながら結局完読。まだ東部町に引っ越して数年後、までの記録のようですね。この作品は「山での暮らし」がメインで、私の好物のお料理やワインの話がほとんど出てこなかったのが残念。2014/10/27
ikedama99
1
読んでいて、楽しくなる本。でもぴりりという部分もある。この方のエッセイとのおつきあいも長くなった。この本は、長野に移って最初の頃だと思う。読んでいて、生活の再構築の雰囲気もあって、面白かった。帯の言葉、好きです。2015/10/07
もけうに
0
玉村さんはエッセイは安定の面白さ。東部町に引っ越し、農業を始めたことで、読みやすいのに深みのある内容に。生きることは、ただ生きることが目的で、それ以上を求めてはいけない。「健康な状態」は人生の一時期に出現するかもしれない幻想。明るく病気自慢する健康体、沢山「病気」があっても健康だから仕方ない。良い考え方だなあ。2019/05/19