内容説明
春秋時代末期、呉王夫差をその美貌で骨抜きにして、呉衰亡の原因を作ったとされる越の伝説的美女、西施。父の身代わりとなって従軍すること十二年、将軍に累進したという民間伝承中の男装の麗人、木蘭…。1973年当時、悠久の中国史をテーマに次々と大作に挑みつつあった著者が、五十歳を目前にして「奮起一番」、“文献による女性研究”を試みたユーモア溢れるエッセイ。
目次
つらつら草
万貴妃
鄭貴妃
世界の光
女のとし
木蘭従軍
魚玄機と薜濤
卓文君
よけいなお世話
賽金花〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
名駿司
4
★★☆☆☆ 妖とは、この場合はミステリアスとか謎とされているという意味か。期待したものとは違ったが、他の作家とはまた違った視点で分析されている。エッセイとして書かれたものだが、短編小説のように描かれたものもあり、小説を読みたかったと思わせるものもあり。特に魚玄機と薛涛という二人の女流詩人の対比が面白かった。陳舜臣氏はやはり女性心理を描くには固いかな(笑)2017/08/10
竜王五代の人
1
陳舜臣氏が語る女性についてのエッセイ、とは言っても大半は中国史上の女性で、ちょっとだけ近世インドの人が混ざる。西施・萬貴妃・薛濤・卓文君・王昭君と、のちに「中国美人伝」で題材にされた人物も多いので、読み比べるのも一興(特に西施の扱い)。卓文君はこちらの方がいい女っぽく書かれていると思う。インドの人たちは、「インド三国志」に生かされているのだろうか?2020/12/16
葉
0
春秋時代末期の呉王夫差を骨抜きにし、国を衰退させる程の美女である西施や男装して軍を率いた木蘭などの女性研究をテーマにしたエッセイと裏表紙に書かれている。19C清末の太平天国に女性だけの科挙があったらしい。また、その時代、インドではセポイの乱が起こり、インド人がイギリスへのレジスタンスを展開していたらしい。様々な女性に関する歴史的背景や考えが述べられている。2015/06/06