内容説明
ようこそ、フィッツジェラルドの世界へ―「特上クラス」の名作から「シングル盤B面」的佳品まで、心をこめて選んだ五短篇を訳し、フィッツジェラルドゆかりの地、アッシュヴィルを訪ねて記したエッセイを付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
34
村上春樹編・訳によるフィッツジェラルド短篇集第2弾。5つの短篇を収録するが、やはり後半に収められた大恐慌後のパリを舞台にしたシリーズが秀逸。1920年代の後半、パリのリッツホテルは、アメリカのお金持ちやフィッツジェラルドをはじめとした有名人達で溢れ、連日連夜喧騒を極めていた。そして、大恐慌。フィッツジェラルド自身もしだいに過去の人になりつつあり、ここでもニュー・ヒーローのヘミングウエイがもてはやされるようになった。表題にもとられた「バビロンに帰る」は、このパリを背景に喪失と哀惜に満ちた実に魅力的な作品だ。2012/11/05
Small World
17
フィッツジェラルドの凄さが今一つわからない自分なんですが、この短編はわりかし面白く読めました。w 最初は状況がつかめてなかったりするんで、短編ひとつ読むたびに、はじめの章を読みなおしたんですが、読みなおしてみるとけっこう「魅かれる入り」だったりしますね、たしかに...。表題作の良さはわかりづらいのですが、切なさは伝わってきました。2015/11/05
田中
5
「バビロンに帰る」を読みたく、しかし「新緑」の圧倒的ハンサム男なんか歌に出てきそうで好きだし、他も良い短編だった。ほとんどアル中と不倫と金持ち遊びの話だ2023/09/13
Yuki
5
結婚パーティーと新緑が面白かった。バビロンに帰るよりも好きだな。やっぱり内容は金・アルコール・女だけど、その中で輝くイノセンスさや、やるせなさを存分に感じさせる。新緑は本当にどうしようもない話だった。映画化とかされないかなぁ。2014/01/31
亜津子
5
村上春樹訳ということで手に取った本だけど 何度も読み返している。 ストーリー自体はわりと単調なのだけれど、 どの話にも深い、取り払うことのできない哀しみのようなものが感じられる。 カットグラスの鉢」と「バビロンに帰る」が特に◎ 原文で読めるようになりたいなー。2013/10/23