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中公文庫
狼は帰らず―アルピニスト・森田勝の生と死

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  • サイズ 文庫判/ページ数 324p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122032866
  • NDC分類 786.1
  • Cコード C1195

内容説明

“狼”と呼ばれ、20年間攀じ登ることしか考えていなかった孤高のクライマー森田勝。谷川岳、アイガー、K2と、なにかに復讐するかのように、森田は死と隣り合わせの岩壁に挑み続けた。登山界になじまず、一匹狼として名を馳せた男がたどった修羅の生涯を、迫真の筆に描く山岳ノンフィクションの名作。

目次

1 「三スラ」の神話
2 ホキ勝
3 衝立岩正面壁
4 アコンカグア
5 烏帽子奥壁大氷柱
6 アイガー北壁
7 エベレスト、K2
8 グランド・ジョラス

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

55
「神々の山嶺」の羽生のモデルとされているアルピニスト森田勝の生涯。山と岩壁に魅せられただひたすら攀じ登ることだけしか見えていなかった人生。山を離れた生活は彼にとって全て虚構の世界の仮の出来事であったのだろうか。その言動がとかく誤解を招き、他人との軋轢を生じるがそれも全て山のことのみ、純粋に考えることしかできなかったからであろう。グランド・ジョラスでの遭難からの生死を賭けた最後の25mの登攀には身震いがした。★★★★2015/06/16

文庫フリーク@灯れ松明の火

52
夢枕獏さん『神々の山嶺』羽生丈二と云うクライマー造形の基になった実在の登山家・森田勝。題名から一匹狼をイメージしていた。実際には基本、ソロクライマーでは無く屈折した自己と、哀しいまでに不器用な熱情を感じてしまう。群れから追われた一匹の狼。完全な一匹狼になれず、さりとて群れの一員に成り切ることもできないはぐれ狼。冬のグランド・ジョラス。落下事故後の片手でのザイル結び、ゆるめるのは己の歯でよじ登る氷壁。森田勝の出逢ったのが、例えばマラソン・ボクシングだったなら。第二次大戦末期からの日本山岳界も興味深く読了。2011/03/26

hatayan

38
経済的に恵まれない劣等感をバネにして岩壁に情熱を捧げた登山家・森田勝の評伝。 山岳会では周りを見返すために危険な氷壁を単独で登攀。山の世界で勝者であり続けるために職を転々とし世間から脱落することも厭わず。自分の思うところを貫くため登山隊の隊員の役割を放棄して一人ででも下山。結婚して家庭を持ち一時の安らぎを得るも、一回り下の長谷川恒男に触発されて決戦の場を求めるかのようにアルプスの岩壁へ再び挑み、パートナーとともに帰らぬ人に。 不器用ながらも純粋で繊細な心を持つ登山家の軌跡を愛惜を込めて綴った一冊です。2019/11/11

はま

17
まさに羽生丈二。夢枕獏「神々の山嶺」で主軸を為す羽生のモデルだという森田勝。羽生の印象深いエピソードの途中までほとんど全部実話やんか(笑)凄すぎ森田さん。まさかのグランド・ジョラス冬季単独での25mまでとは圧巻。それにしたってラストのくだりが切なすぎる。やっぱり山には登れないなー>_<2014/10/08

ichiro-k

13
自分にとって森田勝の実績は、一握りの人々だけで構成される「山ヤ(最近の登山ブームの連中とは別モノ)」の徒労の世界では憧れであるが、パートナーとしては「誰かが傍にいないと寂しがる。劣等感からその場の主役でないと気が済まない。デリカシーのないエゴイスト。扱いづらくタチの悪い人間。」ものすごく嫌な奴だっただろう。後半は家庭を持ち、年齢・体力的にディフェンシブになっていたが・・・共感を持って読了。気になった箇所⇒「無用のもの」とは山であり、それを攀じ登るというニヒリスティックなくらい無用、徒労の行為のことである。2010/11/17

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