内容説明
浅草フランス座での失敗談、駆け出し作家時代のほろ苦い思い出、男勝りな亡き母の名セリフ―ワープロ談義や「最上かつ最良の」文章上達法をまじえて自由自在に語る、井上版「わが半生」の記。
目次
母君の遺し給ひし言葉
受難らしきもの
母君の遺し給ひし言葉
遅まきながら楽典を
少年詩人の勘定書
外国語
ある少女の二年間
別冊で思い出すこととなると
コトバの溶鉱炉〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
subuta
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雑誌や本のほか、公演プログラムに掲載されたものまで集めている。中でもやはり日本語関連の話が面白い。2017/05/29
comajojo
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作家は過去のコトバをいったん全身をもって堰き止める。このときコトバが引き連れているもろもろの文化的態度も同時に堰き止められる。また、あるコトバはつねにある物語を導き出す役目を背負わされているから、物語素もストックされる。作家はこれらを堰き止めたものを、それぞれの個性にもとづいて分解し、同じく個性にもとづいて新しく組み上げる。コトバの新生、それに伴ってなされる時代に対する新しい文化的態度と新しい物語の創造。こういった作家たちの力業の競われる場所が文学雑誌なのだ2009/08/21
a6
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p.200 わたしが欲しいのはあくまでも人間の声だ。/▽声の良い人や役者は沢山いるけど、舞台上に人間の営みを立ち表せる人間の声を出せる人は限られるだろうな。例に出てたオペラ歌手やアナウンサーと役者の「いい声」みたいな、そういう質の違いを感じ取ることはどのジャンルにおいても本質を掴むことになりそう。2021/06/10