中公文庫<br> 熊を放つ〈上〉 (改版)

  • ポイントキャンペーン

中公文庫
熊を放つ〈上〉 (改版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 390p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122025394
  • NDC分類 933
  • Cコード C1197

内容説明

ウィーンの市庁舎公園で出会った二人の若者ジギーとグラフ。中古のロイヤル、エンフィールド700CCを駆り、オーストリアの田舎を旅する二人が見つけたものは、美しい季節の輝きと、手足のすらりとした女の子ガレン。すべてはうまく運ぶはずだった。ジギーが、動物園襲撃などという奇妙な計画を持ち出すまでは…。瑞々しく、痛々しく、優しく、そして未完成な青春を描くジョン・アーヴィングの処女長篇を、村上春樹の最高の訳で贈る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

69
ジョン・アーヴィングの最初の長編小説。訳は村上春樹。上巻が終った段階では、まだ物語全体の構想が十分に明らかではない。少なくても構成はかなり変わっていて、前半がウイーンを起点に、主人公2人によるタンデム・オートバイでの、奔放で傍迷惑でさえあるツーリング。後半はジークフリートの自伝による、両親の若き日―ヒットラー台頭時のオーストリアと、現在時での動物園への侵入記が交互に描かれるというもの。前半からは1969年の映画『イージーライダー』を連想するし(小説は1967年の刊行)どこか共通するものを感じる。2013/04/22

NAO

58
再読。ジギーの喪失感と、焦燥感、弱い者に対する過敏なまでの共感は、アーヴィングの作品に共通するものだが、処女作ということもあって、ちょっと堅い感じが否めない。取りとめもなく続く猥雑な話もアーヴィングの特徴ではあるけれど、師であるヴォネガットの影響がかなり濃厚に感じられ、まだ『ホテル・ニューハンプシャー』以降に見られるアーヴィングの独自な世界観は出来上がっていないような気がする。この話の中では、青臭いジギーとグラフのノスタルジックなバイクの旅のシーンが秀逸だと思う。2016/03/02

Vakira

56
「おならをする河馬」って?イギリスのオートバイ、ロイヤルエンフィールド700登場。ロードムービーならぬロードノベル。バイク乗りにはたまらない。そして初っ端、突発事故。事故ってリアル事故ではない。バイク好き女子からの逆ナンパ。この感覚 村上春樹の書く文体に似ている。そのはず、翻訳は春さんだった。この作品‘68。春さんの「風の歌を聴け」79年。僕と突然友人となるジギー。指のないウエイター登場。もしやアーヴィングの文体、構成、登場キャラまねした?なんて思ってしまうほど春さん節。地にバイク、僕に女、野生に自由を!2020/11/19

メタボン

26
☆☆☆☆ 魅力ある二人の若者ジギーとグラフのオートバイ旅行。その途中、ガレフという女の子の家で逗留中、ジギーがドタバタに巻き込まれ失踪。二人が合流したところで、物語はいったん中断し、ジギーの父の自伝と、動物園から動物たちを放すため偵察する経緯が交互に語られる。自伝はナチスドイツに侵略されていくオーストリアの歴史が背景となっているが、オーストリア鷲に扮する卵屋をめぐるドタバタが面白い。物語がどんな展開を示すのか予想も出来ず、下巻へ。2020/11/04

mm

19
なかなか作品とのチューニングが合わなかった。これは、第二次世界大戦を記憶していない(親や祖父母には強烈に組み込まれている)世代の人間が、記憶を探る物語…という一面もある。そして、自分の取説が青臭くて未熟で痛々しいくらい青春物語…という面もある。最近の若者は盗んだバイクで走り出す尾崎豊には共感しないらしいが、この本の青臭さの苛立ちも、戦後間もない生まれの方に固有の匂いがする気がする。オートバイを運転する人なら、もっとグッとくるだろうなぁという場面多々あり。第2部のナチの嵐では、石の花のマンガが役に立たつ。2017/04/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/549723
  • ご注意事項