中公文庫<br> 戦場パプアニューギニア―太平洋戦争の側面

中公文庫
戦場パプアニューギニア―太平洋戦争の側面

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122020009
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C1120

内容説明

15万の日本兵と1万2千の白人兵が死んだ。しかし戦場となったパプアニューギニアの人が何人死んだのか?飢えとマラリアに苦しみ、大本営に見離された孤立無援の日本兵を支えたパプアの人々。知られざるニューギニアでの戦いを歴史の舞台で明らかにする。

目次

1 報道が歴史像をゆがめた
2 兵隊の死はムダ死か
3 パプアと白人、その相互感情
4 軍秘の壁の内側で
5 マラリアと兵隊
6 飢えるということ
7 技術格差に泣く
8 大酋長と将軍
9 暮しの中のパプアと兵隊
10 ある小部隊の通史
11 PNG誕生・日本との関係
附録 銃後の三カ年―前線と比のために

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

15
パプア戦線の特異性は第一に90%という高い損耗率(戦死、餓死、行方不明などを合せた数)、つまり10人に9人が帰らなかったこと。第二に、徹底的な報道管制のためにこの無惨な敗北が一切報道されなかったこと。すぐ隣のガダルカナルの知名度との差。ジャングルの中をマラリアと飢餓に襲われて幽鬼のように彷徨う兵士を現地のパプア人が救助するくだりは印象的。戦後の日本は再びパプアに乗り込み漁業や林業の資源を奪う。忘恩の行為にほかならないが、そもそも恩義があることさえ、ごく少数の帰還兵以外は知らないのだ。2015/07/27

itosan04

7
ニューギニア戦線の実情を細かく絵入りで説明している良書。世界でいちばん石器時代に近い国パプアニューギニアと太平洋戦争を同時に考えることができる。キーパーソン柴田さんの逸話も豊富。2016/12/24

もるもる

2
以前、WW2の東部パプアニューギニア戦の従軍記を読んだら、上層部への恨み節に終始して面白くなかった経験があったのですが、なんとなくその辺の事情がわかった気がします。唖然とするような上の杜撰さとか、双方に友好的な原住民とか……古い本なので時折「?」となるような部分もありますが、非常に勉強になりました。巻末付録の国内の工業事情の話も、暗澹たる気持ちにさせますが、現場と乖離し机上の数合わせで強気でいられる官僚制とか、現状でも示唆に富みそう。2014/05/04

Ted

1
’93年5月刊。○著者の体験記ではなく、ニューギニア戦で亡くなった叔父の最期を確かめるために書かれた本。技術者らしい筆致だが、処々無関係な記述も散見される。15万人も投入されたのに生還者はたったの1万人で、残りは殆どが餓死という無謀で悲惨な作戦だったが、いくつかの理由で日本人には殆ど知られていない。まだ10万人以上の遺骨が彼の地で放置されたままである。この事実すら知らないままでは彼らが浮かばれない。2024/03/03

千本通り

1
同じニューギニアでも東部と西部ではかなり事情が違うこと、そして全体的に見て東部の戦闘がニューギニア戦争全体の、ひいては太平洋戦争全体の命運を決する結果となったことを描いている。日本軍は約20万人が参戦、帰国者は1万人、消耗率は約94%にのぼる、 ニューギニアの戦いが知られていないのは、第一に語り部が少なすぎること、第二に報道統制がとられたこと、第三にはヤマ場となる戦いがなく、徹頭徹尾救いのない戦いの連続で知名度に欠けたからである。 今回この本でその惨状の一端を知ることができた。2019/08/28

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