内容説明
大正・昭和を通じて、女性を熱狂させた挿し絵画家虹児。早熟なデビュー、パリのサロン・ドートンヌでの活躍、帰国後の円熟。竹久夢二の頽廃の美とは異なる清冽な抒情画は、時代の象徴として人びとの心に生きる。一代の流行児の波瀾の生涯をたどり、新境地を拓く長篇伝記小説。
感想・レビュー
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KAZOO
112
阿刀田さんの人物評伝の長編です。小泉八雲の伝記と並んでいい作品であると感じました。この蕗谷虹児という人物については竹久夢二と同じような少女向け雑誌などの挿絵画家ということしかわかりませんでした。阿刀田さんの書き方は読ませていく方法がうまいと思われます。雑誌に連載されていたので山場を作るのがうまいと感じました。2015/11/14
takaC
45
本に挟んであったレシートによれば'93/1/19の昼休み12:28に買ったらしい。当時24才の自分は蕗谷虹児なる人物を知らずにこの伝記を読んだが、その後R290を攻略しに行った際に蕗谷虹児記念館なるものを見つけてぶらり立ち寄った記憶がある。そんな回想をしながら再読した。2014/12/05
naotan
7
文字通り身を粉にして働きながら、家族と仲間たちを守ってゆく姿に『ゲゲゲの女房』を思い出した。2016/08/24
takaC
4
1993年1月読了。1999/01/01
ネムリン
3
絶版らしくhontoの電子書籍で読了。阿刀田本ということで購入したので、蕗谷虹児はよく知らなかった。少女漫画の走り的な挿絵画家ということらしいが、今も女性に人気のある画家なんだろうか。人間性と作品に関係があるとは思わないので正直彼の人生には何の関心も共感もなかったが、特に新しい価値を創造したとかそういう人ではない画家、生きていくために画家という職業をこなしている人の悲しさは少しわかる。2014/05/05