感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
35
図書館除籍本。国立民族学博物館館長・梅棹氏の若き日のモンゴル紀行。1944年5月から2年間、張家口を基地にモンゴル調査行の傍ら、当時の中国・モンゴルの情勢も詳述。意外だったのは、この当時、モンゴル語・日本語のできる人材がかなり集まっていたということで、かなり交流が活発だったこと。後にチベットに潜入した木村・西川両氏もいたようで、交錯した人々、広大な平原や極寒の描写もさることながら、ソ連参戦と敗戦で脱出する行程もスリリング。当時のノートを元にした生活や牧畜に関連する民具の図録や36年ぶりの再訪録も興味深い。2021/01/01
KF
9
昭和20年より前の時代。大日本帝国の学生も蒙古に行っていれば戦乱に巻き込まれる事もなかった。終戦後の混乱期にソ連軍がモンゴルを超えて来た。それでも鉄道で中華民國経由で帰国している。同じ時期の満州国からの脱出行は厳しかったらしい。 一箇所だけ司馬遼太郎の名前が出て来た。同年代に同じ地方で育ち生きた二人がどこかで対談していないものだろううか?モンゴル語で共通点もある。 しきりにそのモンゴル語の単語が紹介される。その単語も同じモンゴル内で発音が異なるらしい。地図を掲載する事で「あ、ここか」と感じたかった。2023/02/08
ふくとみん
1
司馬遼太郎やドナルドキーンと同じく第二次世界大戦を生きぬいた人であることに感銘を受けた。文章も明快である。再会を果たしたモンゴルの人は今どうしているのだろうか。2023/09/11
dexter4620
1
横浜の古書店で見つけた一冊。生物学者として高明な梅棹忠夫氏の名は知っていたが、若き日にここまで深くモンゴルと関わった方だとは知らなかった。本書後半の民俗学のコラムが、妹尾河童氏を彷彿とさせるタッチで興味深かった。いつか張家口からウランバートル行きの電車に乗ってみたい。2023/05/31
kitarou
0
戦前のフィールドワークが現代でも十分通用する貴重な資料としてよみがえる。あらためて梅棹の知の巨人ぶりに触れられる。2010/12/14