中公文庫<br> ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック

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中公文庫
ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック

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  • サイズ 文庫判/ページ数 318p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784122017955
  • NDC分類 930.28
  • Cコード C1198

内容説明

―僕は時々思う。僕の今の歳にフィッツジェラルドは何をしていたんだろう、と―。生地セント・ポールからモントゴメリイ、ハリウッド、ニューヨーク、そして魂の眠るロックヴィルへ…。1920年代のアメリカに熱狂的に受け入れられた時代の寵児の、早すぎた栄光と悲劇的な崩壊をたどる巡礼の旅。著者訳の短篇2篇を付す。

目次

第1部 スコット・フィッツジェラルドと五つの町(コンクリートとガラスの楽園 ニューヨーク州ニューヨーク;「アラーの園」の人々 カリフォルニア州ハリウッド;ロッグウィル巡礼 メリーランド州ロッグヴィル;奇妙に心地よい太陽の照る場所 アラバマ州モントゴメリィ;ホワイト・ベア湖の夢 ミネソタ州セント・ポール)
第2部 スコット・フィッツジェラルドについての幾つかの文章(『夜はやさし』の二つのヴァージョン;ゼルダ・フィッツジェラルドの短い伝記;映画『華麗なるギャツビー』についてのコメント)
第3部 スコット・フィッツジェラルドの二つの短篇(自立する娘リッチ・ボーイ〈金持の青年〉)
スコット・フィッツジェラルド年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

44
村上春樹によるスコット・フィッツジェラルドへの熱烈なオマージュ。この中でも、その言葉にについて若干説明されているが、本書の前半はフィッツジェラルド所縁の地へのPilgrimage(巡礼)だ。ニューヨークやセントポールなど5つの地を巡る春樹の旅。研究者のそれといささか違うのは、彼がその地の空気感を何よりも重んじるということだろう。そして、それが1番良く出ているのがアラバマ州モントゴメリーだ。後半は2つの短篇が訳出されているが、ベスト5に入るという「リッチ・ボーイ」は『グレート・ギャツビー』に通じるもの。2012/09/30

SOHSA

39
《購入本》フィッツジェラルドの人生とその作品の魅力が村上春樹によって淡々と綴られていく。だがそこにはフィッツジェラルド作品への静かな敬愛が十二分に込められて。それにしても作家の人生は、何故こんなにも波乱万丈なのだろうか。生きていることの意味と削り出すようにして生まれる作品は、ある時は比例しまた反比例する。村上春樹の手によっていきいきと動き出すフィッツジェラルドの姿は、巻末の二編の作品とともに哀しく素晴らしい。と同時にこの頃(80年代)の村上春樹を知る上でも本書は重要な意味を持っている。2017/04/29

Nat

20
夏からロシアへ語学研修に行ってしまった息子の本棚から借りました。読みたい本がなくて、何となく手に取ったけど、予想外に面白く読めました。ニューヨーク以外は行ったことのないアメリカのフィッツジェラルドゆかりの街。村上春樹がこの本を書いてから既にほぼ30年…。今はまた全く変わってしまっているのかな。好きな作家のゆかりの街に思いを巡らせる面白さを、感じました。2017/09/26

速読おやじ

20
学生時代に読んで以来の再読。僕の個人的な興味は妻ゼルダについての伝記だ。ゼルダがいなければ、フィッツジェラルドはあれらの小説群を書けなかっただろうし、またゼルダがいたことで破滅の道を歩むようになったとも言える。自分で経験したことを元に小説を書くというのはヘミングウェイもそうだった(そのために戦争に参加)が、フィッツジェラルドの経験は寂し過ぎる。最後に収められた短編「リッチ・ボーイ」、村上春樹は”青春の夢と挫折”を表わしたリアリティー溢れる作品と評価している。取るに足らないリアリティー、だけど心に残る。2013/07/11

空箱零士

14
お恥ずかしながら、フィッツジェラルドについては「『グレート・ギャツビー』の人」と聞いてやっと「あーっ!」となる程度の認識でしかなかった。はっきり言って、春樹作品全冊読破なんて個人的試みをしていなければ手に取ることのなかった一冊であるし、実際に春樹かフィッツジェラルドのどちらかに人並み「以上」の興味がない人が手にとっても面白くない本だろう。実際僕自身も、特に第一部辺りは「はー左様でございますか……」と言った気分だった。良くも悪くも、プロの作家・アマチュアの文学者による個人的なファンブック、という趣の一冊だ。2016/06/18

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