内容説明
外国映画翻訳30余年のヴェテランが、自然で口に合ったいきいきした言葉に訳すにはどうしたらよいか。絶えず変化する米語、日本語のなかで、その苦心、ノウハウを語る。
目次
アテレコ世界あれこれ(クーパーがフランス語をしゃべる;カミさんの由来;仕手の手順;ああ、敬語!;俗語・新語;恥ずかしながら;コロンボの言葉;幕切れの台詞;英語も乱れてる;スーパーとアテレコ;方言・訛りのなやみ;日本語にならない;アテレコの嘘 ほか)
わたしの英語人生(英語との出会い;適性語;敗戦;空き腹と映画;たった一度の猛勉強;映画のおかげで;やりくり記者;アテレコ事はじめ―創世記;思い出の「コンバット」;気障に徹した「逃亡者」;みじめな英会話人生;東京の夜はサイフである;ニューヨーク・ツアー ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
49
BSで「刑事コロンボ」が再放送中だが、例の「うちのカミさん」という名セリフを生んだ額田さんのエッセイだけに、コロンボ関係の豊富なエピソードが楽しい。テレビ・映画の何気ないシーンでも、舞台裏での人知れない努力があって、初めて成り立つのだということ。何とテレビの初期には、アテ「レコ」ではなく、生放送で声を当てていたというのには驚くしかない。後半の、生い立ちから英語とのかかわり、なぜ翻訳の仕事についたかの話が、自然にこの分野の特別な事情と、テレビの発展にともなう質の変化におよんでいく。興味深い時代の証言である。2022/05/03
よだみな
2
一時期話題になった『刑事コロンボ』のカミさんとは言ってないとかの回答があった。最初はやたらに「マイ ワイフ」と使われていたが、その後制作されたもの以降は「ミセス コロンボ」に変わったのだという。2016/01/17
ひげおやじ
2
図書館でみつけてようやく読むことができた。前半が面白かった。2014/08/01
七変化
2
映画の吹き替えのための翻訳。著者は刑事コロンボやコジャックの日本語訳を一身に手がけた人で、毎回ドラマをおもしろく見ていた世代の人間としてその裏話は宝石を散りばめたような輝きがあった。「うちのカミさんがね」という主人公の人となりを象徴するこの決まり文句が、実は女房に置き換えら幻の台詞になろうとしていた下り。それはまだ序の口で、コロンボファンがどっぷりとノスタルジーに浸れる珠玉の裏話の数々がここに込められている。また、著者は『コンバット』の台本も手がけており、主役を演じたビックモローとの2ショットに☆印。2014/05/09
中玉ケビン砂糖
2
映画ファン垂涎。エッセイとしても珠玉。2014/03/09