中公文庫<br> 脳死

中公文庫
脳死

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  • サイズ 文庫判/ページ数 560p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784122015616
  • NDC分類 490.15
  • Cコード C1147

内容説明

人が死ぬというのはどういうことなのか。人が生きているというのはどういうことなのか。驚くべき事実を次つぎに明らかにして、生命倫理の最先端の問題の核心を衝く。毎日出版文化賞受賞作。

目次

脳死とは何か(誤解の中の脳死;人工呼吸器なくして脳死なし;「和田移植」から17年;ゆらぐ死の概念)
脳死のどこが問題なのか(水準の低い日本の議論;三つの大きな問題;宇宙に比すべき驚異の世界;脳・心臓・肺の相互依存関係;臨床医学上の意識と内的意識;脳幹反射消失で何がわかるか)
厚生省判定基準に疑義あり(誤診があってもわからない;頭蓋内圧亢進が血流を止める;ロミオとジュリエットの悲劇;判定対象を理由なく大幅拡大;実態調査で判明した数多の誤診;厚生省がプロモートした脳幹死説)
脳幹死説批判(脳死論争史上のパノラマ事件;大脳が一部生き残っていても脳死なのか;残存脳波と意識の残存;脳幹死説のナンセンスな論証;かくも多くの早すぎる脳死判定;CTで脳血流が確認されたのに脳死判定)
脳死の脳は本当に死んでいるのか(脳死に特有の解剖所見がなぜ見られないのか;実態調査の疑問点に目をつぶった研究班;プラクティカルな目的とエッセンシャルなもの;眠れる森の美女は生きているのか死んでいるのか)
何が許され、何が許されないのか(人工呼吸器を外すのは許されるか;脳死の心臓はなぜ止まる;脳死者をならべて血液製造工場;脳死がわからぬ医者、法医学者;移植のためには特段の確認検査を;判定基準を作り直せ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

34
88年文庫化。脳死が現れる場所は限られている。大病院か特殊な環境の人工呼吸器のある場所のみ。ガイドラインもできている。彼此30年が過ぎ、国内で脳死移植は少ないが行われている模様。問題は脳死の定義と判定基準。臓器移植、尊厳死は別に論じられるべき。他の臓器は生きていても、脳の死は人間の死と断定して問題ない。脳の移植入れ替えは人間のあり方を問うものでありえないが、他の臓器移植は可能ゆえ。著者は当時の判定基準に疑義をかける。慎重にあるべき。しかし時代とともに進歩していくべき。続く→ 2018/04/15

たまきら

22
あまりの上から目線な表現と、膨大な情報量の提供方法が自分の神経を圧迫するのに、なぜまた久しぶりに読んでしまったのだろう。私はやはり梅原猛さんや柳田邦男さんの脳死への感覚が合うな、と思いつつ、情報の古さにニヤリ。自分の感覚も友人の娘の心臓移植を知ってかなり変わってきたが、脳死判断の政治・医学解釈に、もうすこし個人個人へのケアと言うやわらかい部分が加味されるべきだと思う。この著者の文章は好きになれないが、巧い。2016/05/12

nstnykk9814

9
20年ほど前、書店で買ったまま、放置し続けた積読本。さすがにそろそろ処分しようと手に取り、読み始めたが、半ば手前で飛ばし読みに切り替え。当時は最先端の論考だったのだろうけど、さすがに古い。ただ、脳死とは何ぞやという根本を考え直すには良書だろう。2015/08/18

ずんず

7
【脳死について勉強になる】 すごい情報量です。脳死について全く知らなくても読み進めていくと理解できる。脳の仕組みは難しいが、じっくり読めばおいつけるとおもいます。2021/09/18

よしひろ

7
人の死の定義は難しい。心臓死を死とするならば、人工心肺を使えば永久に死は訪れない。精妙なメカニズムで動く脳、心臓、あらゆる人体の臓器に神秘を感じた。だからこそ、線引きは慎重になる。実際には、心臓の拍動は動いたり、止まったりしながら、停止に至る。臨終の後に心電図を切るのはそういう心臓の微妙な部分に配慮してのことだろう。実は生きているのに、「死」と判断されることもないとはいえない。だからこそ、評価基準の作成は、非常に神経質になる。2015/07/30

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