内容説明
幼い日、夜ごと、子守歌のように、母がきかせてくれた奄美の昔話。南の離れ島の暮しや風物。慕わしい父と母のこと。―記憶の奥に刻まれた幼時の思い出と特攻隊長として島に駐屯した夫島尾敏雄との出会いなどを、ひたむきな眼差しで、心のままに綴る。第15回田村俊子賞受賞作。
目次
真珠―父のために
アセと幼児たち―母のために
茜雲
海辺の生と死
洗骨
鳥九題
旅の人たち(沖縄芝居の役者衆;支那手妻の曲芸者;赤穂義士祭と旅の浪曲師;親子連れの踊り子)
特攻隊長のころ
篋底の手紙
その夜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼっせぃー
2
描かれる奄美の自然の美しさよりも、それをナマに近い状態で視覚と聴覚(鳥の鳴き声や唄)で記録できている記憶の様式がうらやましくて泣いてしまいそうになる。帰る美しい記憶が在るということもだが、そこに至る道がちゃんとついているということもまた、たいへんな幸福だと思う。2020/08/13
ハチアカデミー
1
読了。C 沖縄の言葉や島の生活が描かれていて、エキゾチックといえばそうなのだが… 読み物として独立していない。島尾敏雄の妻が、思い出を語った本というもの以上でも以下でもない。2011/10/13
ノラネコ・ジョーンズ
0
中古で買っちゃったよお~。祭り裏よりも、エッセイちっく。思い出を綴っている感じ。物質的には豊かではなくても、実は昔の生活や人びとって豊かだったんだろうなと思った。神話のような世界が本当にあったんだなあ。洗骨の話とか。最後の島尾隊長出撃の夜の話、ぐっと胸に来た。
よぼ
0
〔自分メモ〕「アセと幼児たち」まで読んで早々に断念。いつか読む……かな……。2010/06/24
iwasabi47
0
敗戦で「隊長さま」と「私」は死んだ。2021/12/04