感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
20
『討たれざるもの』と『闇の音』は微禄の武士を主人公にしたもので、武士の世界の非情で不条理な面を浮き彫りにしている。生活に追われる下級武士と、権力の座に安住して横車を押してくる上級武士という図式は、現代社会にもあてはまるものだ。『霧の中の刺客』と『鬼火』は西陣の織職人を主人公に、愛する女が借金のために身売りされようとするのを何とか止めようと、西陣の御定法や幕府の禁令を犯して金を作り出そうとする彼等の焦燥感を描き出している。そうするより他に道がない彼等は、みすみす罠に落ちて身を滅ぼしていくのである。2006/12/21
タツ フカガワ
8
6話の短編を収録。江戸時代まで西陣織の技術と職人の他国への流出が厳しく取り締まられていたことを「霧の中の刺客」で知りました。この他表題作や「闇の音」「冬の鼓」が面白かった。2019/07/05
ミノムシlove
3
救いのない話が多かった。江戸時代、特に武士は窮屈だっただろうな。上が屑のような人物でも諫言は命がけ。2021/07/14