中公文庫<br> 折口信夫の晩年

中公文庫
折口信夫の晩年

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  • サイズ 文庫判/ページ数 318p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122004665
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1195

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

9
非常に丁寧に書かれた折口の人間像。「旅中を通じて感じたことだが、折口先生は招かれた者の礼儀ということに、気をつかいすぎる程つかっていられた。柳田先生は常に、意欲的で、積極的であった。案内役なのだと思い定めていられた折口先生の立場の違いもあるが、またお二人の性格の違いでもあったろう。「柳田先生はね、子供みたいに見さかいなくおっしゃるからね。困っちまうよ。」などと、ときには、ぶつぶつと小言をいいながらも、柳田先生が思いのままに闊達にふるまっていてくださることが、折口先生にはこの上なく嬉しいことだったのである」2018/03/02

フリウリ

6
岡野氏による「折口信夫伝」は難しい本であったが、本書は平易でありながら、折口信夫というひとを過不足なく的確に描いているように思えた。死に至るなかでの師匠と弟子の厳しく苦しいやりとりには感動すら覚え、また柳田國男、斎藤茂吉、室生犀星らとの交流に関しては、第三者の視点から、また折口の視点から立体的に描かれていて、きわめて興味深い。折口信夫という人、そしてその人が生んだ学問を理解するうえで必読であると思う。なお、伊馬春部が太宰治の自死時にいち早く入手した「斜陽ノート」を、当初折口が預かっていたことには驚いた。92023/03/07

しずかな午後

4
折口信夫といえば「折口学」と称される独自の民俗学・国文学を打ち立てたことで知られている。そんな折口の晩年を、その最期を看取った岡野弘彦が綴る。折口は古代人の宗教文化を現代に蘇生させようとした。当然、折口自身も古風な学者気質なのかと思っていたら全然違った。酒はジンを好み、ミステリを愛読(!!)し、若い頃のコカイン中毒で鼻が効かない。そして徹底的な女嫌い(おそらくゲイか)。その女嫌いは妻帯者に自宅の風呂を使わせないほど。強烈。こんな人物が、あれだけ古代へ心を遊ばせることができるというのは、かなり衝撃的だった。2023/01/15

iwasabi47

3
良い本だった。書き手が正直。折口が亡くなり12年経てる事を踏まえても、師の「自愛」に対して従えない気持ちを表しているのは気持が良い。尊敬と後悔。柳田もたいがい。春洋と折口が取っ組み合いしたとか、面白い。折口と岡野が隠れてカタクリを採りに行くのは微笑ましい。「君は心おどりが足りない」2024/02/24

はるたろうQQ

1
濃密な人との交わり、筆者との師弟関係だけでなく、師の柳田國男、友人(斎藤茂吉、武田祐吉、室生犀星、堀辰雄等)との濃密な関係も描かれており、あの独自の思想が形成された背景が明らかにされる。解説の中野孝次が人間記録というのは言い得て妙。それでも筆者は弟子として業の底で結ぶ絆まで到らなかったという。猛妻・猛母で有名な茂吉夫人の茂吉葬儀時の振る舞いはさもありなんと思うと同時に、二人の関係を深い所で理解していたようである。夫婦の不思議、業の底で結ぶ絆ということだろうか。藤無染や釈迢空の筆名まで触れているのも印象的。2024/05/09

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