中公クラシックス<br> 生物の世界 ほか

中公クラシックス
生物の世界 ほか

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  • サイズ B40判/ページ数 325p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121600325
  • NDC分類 460
  • Cコード C1245

内容説明

生命の全体を決定していくのは生物の個ではなく、種である。

目次

生物の世界
渓流のヒラタカゲロウ
自然学の提唱
山岳省察

著者等紹介

今西錦司[イマニシキンジ]
1902~92。動物学者、人類学者。京都西陣の織元の家に生まれる。京都帝国大学農学部卒業。カゲロウ種間の比較観察から棲み分け理論を唱える。後年は、生存競争を強調する西欧の進化論への批判をつよめ、種社会の主体性と共存の理論にもとづく独自の進化論を展開した。またニホンザル、チンパンジーなどの研究を進め、日本の霊長類学の礎を築いた。登山家、探検家としても知られる。1979年文化勲章受章
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

84
私は講談社文庫のときから幾度か読んでいて、再度この本で読んでみました。ダーウィンの進化論の自然淘汰などを受け入れないということで最初に読んだときには新鮮な感じがしました。今西さんは既成の概念を受け付けないで経験に裏打ちされた独創性を大事にするという考え方を持っているので、西堀さんや梅棹さんなどお弟子さんや仲間のみなさんもそうなのでしょうね。2015/09/16

獺祭魚の食客@鯨鯢

42
 著者は京都学派の一角を占める生物学の泰斗。「棲み分け理論」を創始した。「生物と無生物とあいだ」の福岡伸一さんは京都大学の後輩である。  ダーウィンは西洋の弱肉強食の思想であるが、棲み分けは「共存共栄」の思想である。とても東洋人らしい。敵を完膚なきまでに痛めつけるのではなく従えてその生存を赦す。「古事記」での服わぬ民を征討する物語は正にこの思想である。  儒教の倫理思想、仁義礼智信も無用の争いをしない考え方。 コロナウイルスは生物ではないが、撲滅より「棲み分け」する方が得策なのではないかとも思う。2021/08/27

ハジメ

7
文化人類学者梅棹忠夫氏の師匠だと知って手にとった。ダーヴィンの進化論成立背景には古典的経済学がある。自然学者今西錦司氏はダーヴィンの進化論のおおよそを肯定しつつも、培った経験論から進化論と淘汰に切れ目をいれ独立した概念、(因果関係と相関関係のように)思考を巡らせていく。今西錦司の進化論背景には経済学ではなく社会学があり、ダーヴィンの説明できなかった社会性昆虫世界の進化を補っている。またショウジョウバエをめぐるモーガンの遺伝子研究が1910年代に発表され、今西錦司氏もこの時代の流れを汲んでいると想像できる。2020/03/03

greenman

5
今西氏は、生物の世界を「種個体→種社会→生物全体社会」として表しつつ、それぞれ相互補完する形で成り立っていると主張する。特にダーウィンの進化論や、生存競争に疑問を持ち、積極的に批判をくわえていく。少数の突然変異体が進化を引っ張るのではなく、ある時期に達すると、種ごと変化するというのが今西氏の自然学だ。著者はヒラタカゲロウの棲み分けから、競争もある時点で均衡になり、種社会が棲み分けられていくのではないかと考えた。今でも生物や自然や山々を見つめる上で、今西氏の思想は生きるだろう。2010/02/13

gachin

3
『生物の世界(1941)』:生物を擬物化する機械論的要素還元主義へのアンチテーゼとして、ゲーテ的自然観に裏打ちされた知的な全体論が展開されている。という訳で、氏はダーウィニズムを目の敵にしているが、相手取るべきだったのはネオダーウィニズムだろう。援用している仏教思想に弄ばれてる感もなくはないが、無生物-生物-人間・自-他の間のシャープなバウンダリーを上手く崩している。ただし、どのくらい藁人形論法なのかは判断つかない。非対称性の破れで生物社会を説明しようという態度に金子イズムを感じる。2020/08/05

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