中公新書ラクレ ルポ 子どもの無縁社会

石川 結貴【著】

中央公論新社（2011/12発売）

• サイズ 新書判／ページ数 238p／高さ 18cm
• 商品コード 9784121504074
• NDC分類 367.6
• Cコード C1236

内容説明

教科書を置いたまま、ある日姿を消す小学生。虐待のリスクを抱えて所在不明になる親子。公園やスーパーに遺棄される乳幼児…。地域のつながりが希薄化し、友達とも「うわべだけ」の関係になりがちな今、“無縁の連鎖”が子どもを襲う。孤立を深める家庭を救うことはできないのか。

目次

第１章　学校から消える子どもたち―年間一〇〇〇人以上の「居所不明児童生徒」がいる（教科書を残して消えた少女；住民票を移転せず「消える」　ほか）
第２章　虐待家庭が見つからない―児童相談所はなぜ子どもを救えないのか？（二児がネグレクト死するまで；行政との接点は何度もあった　ほか）
第３章　名無しの命―棄児二五人、置き去り二一二人の衝撃（「行旅死亡人」になった子どもたち；現代の捨て子　ほか）
第４章　ネットで出会い、リアルで孤立する親―「つながる」時代の希薄な人間関係（ゲームサイトの掲示板で意気投合；虐待死させた直後の「新婚生活」　ほか）
第５章　我が子は無縁にならないか―忍び寄る子どもの無縁社会（遊び声が「騒音認定」される；子どもは邪魔でうるさいもの　ほか）

著者等紹介

石川結貴［イシカワユウキ］
１９６１年静岡県伊東市生まれ。９０年より、家族、教育、子育てなどをテーマに取材を始める。豊富な取材実績に基づく鋭い視点や、ありのままの現実を客観的に描き出す手法で次々と話題作を発表してきた。近年は児童虐待や子どものネット問題、学力格差など青少年の現状を取材し、出版、講演、テレビ出演等を通じて幅広く問題提起している（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[もえたく]

３年前のルポのため、タイトルに無縁社会とあるが、メインは所在不明児童の問題。２００４年の柳楽優弥主演の映画「誰も知らない」もこのことがテーマというから、現在も解決の糸口が見つかっていないことを実感。とても考えさせられる本でした。

2014/08/07

[小鈴]

1183人。これは 2011年5月の調査による小中学生の居所不明者の数だ（被災地除く数値）。不登校という意味ではない。子供が突如通学しなくなり、親とも連絡がとれず、また住民票の移動もなく、学校から消えて行政すら把握できない子供の数だ。いま、その子供たちがどうなったのか知る術はない。少なくとも公的書類や行政組織から。この情報化社会にも関わらず。NHKの無縁社会の特集で広く知られるようになった行旅死亡人。官報に公告される亡くなった子供たち。無縁社会という衝撃を大人たちは自分の身に引き付けて多くを語ったが、語る

2011/12/14

[今庄和恵＠マチカドホケン室／コネクトロン]

読後感が暗澹たるもの、背筋が寒くなった。半端なホラーより怖い。ネットの繋がりなど本当の縁ではないのだ。縁というのは体温を直で感じられるものでないと真に作用しないのだ。国が住民を管理するというのは、それは保護でなくてはいけない。保護するための管理ならば必要。制度の穴は早急に埋めてしまわないと。学校から姿を消す、居住不明児童の数が年間１０００人以上。日本は生まれた子どもが大人になるまで育つ事ができない国になってしまっている。

2012/01/31

[寒上ぺそぎん]

実話ベースでかつ、一番ドギツイ話題を挙げているせいとは思うが、「日本終了のお知らせ」とでも言いたくなってくるほどどうにもならない絶望感だけが読後に残った。見えない、というよりは、多くの人の目に映らない場所で孤立化していった人々の、その子供世代は親世代と同様に、誰の目にも映らず助けの手を差し伸べられる事もなく。格差というか身分差社会の足音がすぐそこで聞こえているのではないか、と思わされる内容であった。

2012/05/01

[ophiuchi]

児童虐待やネグレクトがニュースになることが多くなりましたが、この本に書かれているほど悲惨だとは・・・ 少子化の中で6ポケットという言葉ができたほど恵まれた子どもたちもいて、格差が凄まじい。今後状況が良くなるように思えないのが悲しい。

2012/03/29