出版社内容情報
独創的な開発をした技術者は報われているか? 青色LEDの中村氏が古巣企業を訴えた裁判を中心に報告。
内容説明
「発明対価604億円」。青色LEDの開発者・中村修二氏が、古巣企業を訴えた裁判の判決で、巨額報酬時代の幕は開いた。いかに財務・人事管理すべきか?特許法の問題点は?最前線を追う。
目次
1 判決―二〇〇四年一月三十日東京地裁一〇一号法廷
2 奴隷叛乱―二〇〇一年八月二十三日提訴
3 ブレークスルー―青色LEDを求めた立志伝
4 七つの主張―二〇〇一年十月二十三日口頭弁論
5 職務発明か自由発明か―二〇〇二年九月十九日中間判決
6 訴訟ラッシュ―日立・象印・オリンパス・味の素
7 特許法改正へ―産官学の攻防
8 高騰する発明報酬―研究者・技術者は報われているか
著者等紹介
岸宣仁[キシノブヒト]
経済ジャーナリスト。1949年埼玉県生まれ。73年東京外国語大学卒業。読売新聞社経済部勤務を経て、91年に独立。経済ジャーナリストの立場から、科学技術と知的財産権問題の最先端を追っている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たばかる
9
2004年の青色発光ダイオードをめぐる個人(中村)と企業(日亜)の特許権訴訟の終結を中心に日本の職務発明を論じるニッチなジャンルの本。テーマの独自性は目を惹くが、いかんせん裁判の経過や原告の言明、インタビューの長文抜粋にページを裂きすぎているせいで、なかなか全体像が入ってこない。▽三菱など大手の研究者や国家公務員は欧米の構造を取り入れ研究者に対する報酬の青天井をあげている。これには、日本労働研究機構という労働問題を専門に扱うシンクタンクが調査を実施したことに見られるように、労働者の地位向上の背景があった。2019/04/12
takao
3
ふむ2024/02/09
おらひらお
3
2004年初版。中村修二氏の発明対価604億円の衝撃は今でも覚えていますが、これが契機となって、職務発明に対する見直しが進んでいるようです。これまでが余りにひどかったのでしょうが、職場環境はすこしギスギスしそうな感じもします。このようなことを感じるのが、終身雇用や悪平等の名残を残す職場にいるものの感じ方でしょうか・・・。優秀な人材の確保にはそれ相応の対価の必要性を再確認できました。ただ、まとめがないのが残念。2013/05/28