中公新書<br> インドネシア大虐殺―二つのクーデターと史上最大級の惨劇

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中公新書
インドネシア大虐殺―二つのクーデターと史上最大級の惨劇

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  • サイズ 新書判/ページ数 224p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121025968
  • NDC分類 312.24
  • Cコード C1222

出版社内容情報

1960年代後半、インドネシアで2つのクーデターが発生した。事件の起きた日付から、前者は9・30事件、後者は3・11政変と呼ばれる。一連の事件が引き金となって、独立の英雄スカルノは失脚し、スハルト政権が誕生することになる。権力闘争が絡んだ事件の裏で、最大200万人とも言われる市民が巻き添えとなり、残酷な手口で虐殺された。本書では、今なお多くの謎が残される史上最大級の虐殺の真相に、長年の現地調査と最新資料から迫る。

内容説明

一九六〇年代後半、インドネシアで二度のクーデターが起こった。事件発生の日付から、前者は九・三〇事件、後者は三・一一政変と呼ばれる。この一連の事件が原因となって、独立の英雄スカルノは失脚し、反共の軍人スハルトが全権を掌握する。権力闘争の裏で、二〇〇万人とも言われる市民が巻き添えとなり、残酷な手口で殺戮された。本書は、いまだ多くの謎が残る虐殺の真相に、長年に及ぶ現地調査と最新資料から迫る。

目次

序章 事件前夜のインドネシア
第1章 九・三〇事件―謎に包まれたクーデター
第2章 大虐殺―共産主義者の一掃
第3章 三・一一政変―「新体制」の確立
第4章 敗者たちのその後―排除と離散の果てに
終章 スハルト体制の崩壊と和解への道

著者等紹介

倉沢愛子[クラサワアイコ]
1946年生まれ。東京大学大学院修了。コーネル大学大学院ならびに東京大学にて博士号(ともにインドネシア研究)。摂南大学、名古屋大学教授を経て慶應義塾大学教授、その後名誉教授。専門はインドネシア社会史。著書『日本占領下のジャワ農村の変容』(草思社、1992、サントリー学芸賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばたやん@かみがた

100
1965年9月30日の政変をきっかけに当時世界第三位の規模を誇っていたインドネシア共産党(PKI)関係者に対して行われた大虐殺。その規模は50万人とも200万人とも言われています。数字を見るだけでも惨鼻を極める虐殺が何故行われたか。公開された公文書を紐解き、また生き残った人々や殺害者から聞き取ることで歴史家が当時を振り返って行きます。/第一に、政治的な虐殺事件に共通する出来事が読者の胸を突き上げます。一見、民衆の自然発生的な現象に見せかけて、そこに国軍などの巨大な公的組織が関与している所は、(1/5)2021/02/13

HANA

69
題名にこそ大虐殺とついているが、実際はインドネシアで60年代後半に起きた政変のルポタージュ。この時期はイデオロギー対立がもっとも先鋭化した時期で、中国の文革やクメールルージュはよく知られているが、インドネシアでも同じような事が起きていたことは、本書によって初めて知る。虐殺の部分は本書の一部ながら、そこで語られている体験談が本書中一番価値があったのではなかろうかと思った。この部分、もう少し掘り下げて堀かったなあ。あと自分年代には単なるテレビタレントとしか思えた居なかったデヴィ婦人の意外な活躍。人に歴史あり。2020/07/12

skunk_c

67
スカルノ政権末期からスハルト政権へ移行する期間の政治史と、その間に起こった虐殺について、最新の知見や被・加害者へのインタビューを交えて明らかにした著。本書にも紹介されている馬場公彦『世界史の中の文化大革命』で知ったこのインドネシア共産党への弾圧について、より深い知見を得ることができた。また直前に『民衆暴力』を読んでいたため、インドネシア民衆が共産党関係者を虐殺するプロセスの中に、いくつか共通点を見いだすこともできた。スカルノの失策もあったが、政治過程の残酷さ、この時代の党派抗争の熾烈さを改めて感じた。2020/10/03

パトラッシュ

49
インドネシアでスカルノからスハルトへの政権移行期に大量虐殺があったと聞いていたが、その実相を初めて知った。政権上層部の権力闘争が民衆にも広がり、フェイクニュースで踊らされ隣人が殺し合うボスニアやルワンダを予告する事態が起こっていたとは。人は信じたいものを信じ、そのためなら簡単に人を殺す。それを煽動した欧米や見捨てた毛沢東など国際政治の冷酷さも浮き彫りにする。途上国だけの話ではなく、来月のアメリカ大統領選でトランプが敗れたら陰謀論を信じる熱狂的支持者が暴動を起こす可能性が冗談ではなく危惧されているのだから。2020/10/25

まると

29
こういうのを読むと、人間は何と恐ろしいことのできる生き物かと感じざるを得なくなる。殺戮に加担した人や40年以上、家族と離れて逃避行を続けた人の証言が生々しく、読ませる。この血生臭い大虐殺とその後の弾圧・差別がナチス・ドイツやカンボジアのそれと比べてあまり知られていないのは、独裁体制下で情報統制さえすれば、陰惨な歴史的事実も隠し通せることを証明しており、そのこと自体に恐ろしさを感じる。惨劇を後世に残そうとする学者の矜持を感じるとともに、インドネシア現代史の輪郭を学ぶことのできる良質なテキストでもありました。2022/09/17

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