内容説明
都知事は首相より強い権力者と言われる。首相が頻繁に交代するなか、もう一つの政府とも言える都知事は原則四年間変わらない。一三〇〇万の都民を背景に、GDP世界第一〇位以内の実力を持つ東京都は、日本で突出した力を持ち国政に影響を与え、また公害をはじめとする新たな問題と格闘してきた。本書は、都知事のもと、国家の一歩先を走ろうと試行錯誤した歴史を辿りながら、大都市東京の実態と可能性を明らかにする。
目次
第1章 都知事とは何か
第2章 都知事と都政―戦後六〇年の軌跡
第3章 都議会―真の立法機関へ
第4章 都庁官僚―「二〇万人体制」の現在
第5章 都知事と政策決定
第6章 都財政―常代化する危機
第7章 独自の大都市制度―都と特別区の関係
第8章 石原都政の大都市経営―転換を試みた一二年
終章 大都市東京の行方―三つの焦点
著者等紹介
佐々木信夫[ササキノブオ]
1948年(昭和23)岩手県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。法学博士(慶應義塾大学)。東京都庁勤務を経て、89年聖学院大学教授。94年中央大学教授、2001年より中央大学大学院経済学研究科教授。専攻、行政学・地方自治論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
28
都民ではないが東京の行政についてよく分かった。特に全予算を合わせて東京都の予算だけで韓国の国家予算を超えるってのに驚いた。そして問題は色々あるが石原都知事は立派な人物だと感じた。2011/06/10
mazda
27
1000万人の有権者に直接選ばれる、という点では、総理大臣よりも格上かも知れません。政治資金を少しくらいちょろまかしてもいいんです、それ以上に都民にとって有益な政策を実現するのなら(残念ながら、現知事はマイナスですが…)。マスコミも、目に見える容易なところだけ取り上げるのではなく、どういった成果があったのかを客観的に報道できる力をつけてほしいものです。2016/05/17
よこしま
19
昨日読んだ『里山資本主義』と対比する、日本のマネー資本主義の心臓部となる東京都。GDPだけなら第9位の国に相当する力がある以上、都知事には相当なリーダーシップが必要が求められます。著書には都知事だけでなく、都議会や都庁官僚、政策決定の種類、都の財政などが詳しく書かれ、他県である人でも地方行政の勉強になると思います。興味深かったのは、刊行時点での、安井・東・美濃部・鈴木・青島・石原という戦後の歴代知事の政策が述べらてる部分です。美濃部がリベラルでよく長期政権保てたのは、過去の日本がまだ救いはあったんだなと。2014/07/05
ぼんくら
19
タイトルは都知事だけど、東京都の行政について知るにはいいと思う。東京都って学閥がないんですね。局長クラスが東大ばかりじゃなくて驚きました。2013/07/21
佐島楓
11
都の成り立ちから機関としての構造、財政、国や区との関係などさまざまな情報がわかりやすくまとめてある。財政面などの問題点やその改善への提言も。震災で東京の構造も住民の心理的な面から言えば変わったのかもしれず、今年頭に発売されたこの本に当然ながらまだ改革のヒントは記載されていないものの、考える材料にはなるだろう。知らなかったことも多く、勉強になった。2011/11/12